疼痛や腫脹等の症状を有する血管奇形に対して凍結治療を施行し、その安全性を評価する臨床試験を行っている。 現在2症例の静脈奇形に対して凍結療法を実施している。1例目の症例では疼痛が消失し、著明な症状の改善が得られている。MRI上も病変は縮小し、治療効果は良好である。2例目は治療施行後間もないため、1週間後の経過観察を行った段階であるが、2例目においても疼痛の改善が得られている。今後残存している疼痛がさらに改善していくことが期待できる。2例ともに重篤な有害事象は認めていない。 現在3例目の治療予定が計画されており、症例の集積は徐々に進行している。 血管奇形に対する治療法としては、従来より外科的切除や経皮的硬化療法が行われてきた。外科的切除では、深部への浸潤症例では、切除による侵襲が大きくなり、術後の機能障害や整容に問題を生じることがある。経皮的硬化療法では、硬化剤の病変内への注入により、疼痛の改善や縮小効果が得られるが、十分な治療効果を得られにくい症例も少なくない。このような治療背景より、安全でより治療効果の高い新しい治療方法が臨床的に必要とされている。凍結療法は治療時の疼痛も少なく、血管奇形により生じる疼痛の改善ならびに腫脹の改善の両者に関して非常に良好な治療効果を得られる可能性があり、有望な治療法として期待されている。今後も症例の集積を継続し、その安全性についての評価を継続していく。
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