研究課題
若手研究(B)
スフィアを形成することがわかっている甲状腺癌細胞株FROをスフィアアッセイ用の低接着表面加工された96穴プレートに播種し、siRNAライブラリーを用いて遺伝子ノックダウンを行い、コントロールsiRNAを導入したwellのスフィア数・径と比較することでスフィア形成能の検討を行った。通常、スフィア形成能の検討は直径100 μm以上の大きさのスフィアを顕微鏡下でカウントすることで行ってきたが、我々は多数のターゲットに対するスクリーニングを、スフィア形成能・細胞増殖能の両方に対応させるため、ThermoのArrayScan VTI HCS Reader(96-wellフォーマットの自動セルイメージャー)を用いて、今回のアッセイ用に新しくマクロファイルを開発し、スフィアの定量をより簡便に行うことを可能にした。よりスフィア形成能特異的な分子を同定するため、スフィアアッセイに加えて通常の単層培養を用いた細胞毒性試験も平行して行った。通常の単層培養ではあまり細胞増殖抑制効果が見られないが、癌幹細胞の指標とされるスフィア形成能を高度に抑制するsiRNAは、それだけ癌幹細胞の機能に特異的な役割を持つものと考えられる。これまでに714のキナーゼ遺伝子に対するスクリーニングを行い、いくつかの候補遺伝子が、スフィア形成、おそらくは癌幹細胞の維持に重要な役割を果たしている可能性を示唆するデータが得られている。以上、本年度における研究により、高精度で効率的な実験基盤が整い、予備的なデータも取得することができた。また、明らかに癌幹細胞に特異的なシグナル伝達の存在が認められ、通常の癌細胞との違いを明らかにする上でも重要な知見となることが予想される。
2: おおむね順調に進展している
高精度で効率的な実験基盤が整い、予備的なデータも取得することができたためおおむね予定通り進展していると考えられる。
基本的には、当初の予定通り研究を進める方針である。引き続き放射線照射を組み合わせたスクリーニングを行う予定である。他の甲状腺癌細胞株を用いた検証も行う予定である。
スクリーニングに時間を要したため、予定していた数のsiRNAのスクリーニングを全て行うことができなかった。引き続きスクリーニングのための物品費として使用する予定である。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件)
Thyroid
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