当研究の目的は、泡沫化硬化剤を用いた経皮経肝的門脈塞栓術の安全性と有用性を確立し、経皮経肝的門脈塞栓術手技の標準化を目指すことにある。その端緒として、従来の硬化剤と泡沫化硬化剤の比較検討のため、豚を用いた動物実験を行い、安全性、有用性に関する基礎的検討を行う。また、臨床例の蓄積を通じて、再疎通率、肝臓容積変化、合併症、安全性についての検討を行っていくものである。 豚腎を用いた代用実験において、ヘマトキシリン・エオジン染色に加えて、ファスティカ・ファン・ギッソン染色を施行し、通常の硬化剤、泡沫化硬化剤それぞれについて組織学的な比較検討を施行した。泡沫化硬化剤が分布の点において優れる腹側域での変化が顕著であろうと予測したが、特に2つの硬化剤の間に差異は認められなかった。特に、泡沫化硬化剤にて特別に強い局所的変化が観察されるというはなかった。 蓄積症例については、十分な観察期間があった、15例について、オルダミンの使用は許容範囲内で、重大な合併症は認めず、塞栓効果は良好で、十分に残肝予備能を拡大できるという点について、パイロットスタディとして文献的報告を行った。
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