研究課題
平成26年度で、PARP阻害剤オラパリブの放射線増感効果を細胞レベルで検討した。オラパリブの放射線増感効果は、DNA二重鎖切断の生成数の増加によると考えられる。臨床上、PARP阻害剤による放射線増感効果が期待できる癌の予測のためには、基礎データとして、放射線治療効果とDNA二重鎖切断修復の関係を検討することが必要である。そこで、免疫組織染色で、DNA二重鎖切断修復の非相同末端接合修復に関わる蛋白の発現と放射線治療成績の関係を解析した。放射線による細胞死では、DNA損傷の一つであるDNA二重鎖切断が重要であり、その主な修復機構の一つに非相同末端結合がある。これに関与する蛋白として、XRCC4、DNA-PKcs、Ku70、Ku86があり、これらの蛋白発現の強度と放射線治療成績の相関性を解析し、治療効果の予測因子となりうるかを検討した。対象は1999年から2008年において、扁平上皮癌と診断された92例で、病期分類は一期が22例、T4を除いた二期三期が44例、T4および四期が26例であった。放射線治療は、原発部位および転移リンパ節に対して60グレイの線量を目標とし、化学療法同時併用は80例で、シスプラチン5FUが20例、ネダプラチン5FU が56例、5FUのみが4例であった。治療前における、内視鏡的生検組織を用いて、前述した蛋白について免疫染色を行った。XRCC4の発現率は単変量、多変量解析にいずれの解析においても有意な、独立した予後因子であった。XRCC4の発現率では、60%以上の陽性率を示す症例は、全生存率、疾患特異的生存率、局所制御率、いずれにおいても有意に予後不良であった。
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Radiotherapy and Oncology
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10.1016/j.radonc.2015.04.008