研究課題/領域番号 |
25861115
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 茨城県立医療大学 |
研究代表者 |
津田 啓介 茨城県立医療大学, 保健医療学部, 助教 (00598146)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 分割収集法 / FDG-PET検査 |
研究概要 |
がんの画像診断において、生体機能の評価が可能な核医学検査の有用性が増しているが、信号雑音比の高い良質の核医学画像データを収集するには、分単位の収集時間が必要であり、体動の影響を排除する工夫が求められる。この問題に対処するため、我々は、FDG-PET画像の分割収集法に関する検討を進めてきた。 本研究の目的は、核医学検査における分割収集法による画質向上の理由を理論的に解明し、さらに従来法の連続収集法と比較しながら、がん病変の診断に至適な画質の画像を得ることが可能な分割収集法の臨床的有用性を確立し、病期診断成績の改善を図ることである。これまでの研究成果から、FDG-PET検査における静止体を対象とした分割収集画像では、従来法の画像と比較して画質改善効果があり、臨床的な有用性も期待できる。しかし、その画質改善効果の起因となる理論が解明されていないため、基礎実験を中心に画質改善の理論的根拠を検証する。さらに、臨床的有用性を確立するため、実際のがん病変の診断に対して分割収集法を適応し、病変の描出能の有意な改善を確認し、病期診断成績が向上することを証明する。 今年度は、核医学検査における分割収集法による画質向上の理論的な解明を進めるとともに、FDG-PET検査におけるがん病変の描出能に対する分割収集法の臨床的有用性について検討した。FDG-PET検査における静止体を対象とした分割収集法では、従来の連続収集画像と比較して得られる画像の画質改善効果があり、臨床的な有用性が期待できる。このため、実際の臨床症例のがん病変の診断に対して分割収集法を適応し、病変の描出能が分割収集法により改善するか否かを検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
FDG-PET検査におけるがん病変の描出能に対する分割収集法の臨床的有用性について検討するため、実際の直腸癌症例を対象として分割収集法の検討を行った。分割収集FDG-PET検査による分割収集画像では、従来の連続収集画像と比較して病変の描出能や画質が有意に向上し、良好な画質の画像が得られることが示された。このため、本研究により、分割収集FDG-PET検査は、直腸癌所属リンパ節の転移状態の診断成績の改善を図り、病期診断の成績が向上する可能性が示唆された。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、核医学検査における分割収集法による画質向上の理論的な解明を進めるとともに、低酸素PETトレーサを用いたPET検査におけるがん病変の描出能に対する分割収集法の臨床的有用性について検討を行う。 放射線治療の効果は組織内酸素分圧に依存するため、腫瘍の低酸素状態を把握することは重要である。このため、最近、低酸素PET検査が注目されている。しかし、低酸素PETトレーサを用いたPET検査では、がん病変(低酸素領域)とバックグランドの集積比がFDG-PET検査と比較して低いことが知られている。このため、低酸素PET検査において、がん低酸素領域の描出能を分割収集法により改善させて、臨床的有用性を増強させることを目指す。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究計画調書では、初年度に設備備品として核医学画像解析用ワークステーションの導入を記載していたが、交付決定額では同ワークステーションの導入が不可能であったため、次年度使用額が生じた。 既存のワークステーションに導入可能な核医学画像解析用ソフトウェアを導入する予定である。
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