研究課題
核医学検査における分割収集法による画質向上の理由を理論的に解明し、さらに従来法の連続収集法と比較しながら、がん病変の診断に至適な画質の画像を得ることが可能な分割収集法の臨床的有用性を確立し、病期診断成績の改善を図ることを目的として研究を実施した。前年度までの研究成果から、FDG-PET検査における静止体を対象とした分割収集画像では、従来法の画像と比較して画質改善効果があり、臨床的な有用性も期待できるが、その画質改善効果の起因となる理論が解明されていないため、基礎実験を中心に画質改善の理論的根拠を検証した。具体的に、今年度は、低酸素PETトレーサを用いたPET検査における肺がん病変の描出能に対する分割収集法の臨床的有用性の確立を目指した。先ず、放射線治療の効果は組織内酸素分圧に依存するため、腫瘍の低酸素状態を把握することは重要である。このため、最近、低酸素PET検査が注目されているが、低酸素PETトレーサを用いたPET検査では、低酸素領域とバックグランドの集積比がFDG-PET検査と比較して低いことが知られている。このため、低酸素PET検査において、がん低酸素領域の描出能を分割収集法により改善させて、臨床的有用性を増強させることを目指した。併せて、肺がん病変では呼吸運動による影響を受けるため、各種補正を施すことにより病変描出能および定量性の向上を目指して検討し、新たな定量値補正法を導いた。
3: やや遅れている
職場の異動に伴い研究環境に変化が生じたため、交付申請書に記載した研究目的の達成度については、やや遅れていると考えている。このため、次年度は研究に費やす環境を整備し研究目的達成へ向け精進したい。
今後は、PET検査のみならず、SPECT検査を含む単光子放出核種を対象とした核医学検査における分割収集法の確立を目指す。
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