本研究では、核医学検査における分割収集法による画質向上の理由を理論的に解明し、がん病変の診断に至適な画質の画像を得ることが可能な分割収集法の臨床的有用性を確立することを目的として研究を実施した。これまでの研究成果から、18F-FDG-PET検査における静止体を対象とした分割収集画像では、従来法の連続収集法による画像と比較して画質改善効果があり臨床的な有用性も期待できる。しかし、その画質改善効果の起因となる理論が解明されていないため、基礎実験を中心に画質改善の理論的根拠を検証した。さらに、分割収集法における臨床的有用性を確立するため、実際のがん病変の診断に対して分割収集法を適応し、病変の描出能の有意な改善を確認し、SPECT検査などの単光子放出核種を利用した核医学検査を対象とした研究も展開する予定であった。 また、補助事業期間は平成25年度~平成27年度の3年間を予定していたが、補助事業期間中に研究実施環境が変化し、本研究課題に対するエフォートが交付申請書に記載した予定と比較して大幅に少ない状況となった。このため、補助事業期間延長承認申請を経て平成25年度~平成28年度の4年間で研究を遂行した。しかしながら、本研究課題で予定していた、低酸素PETトレーサを用いたPET検査におけるがん病変の描出能に対する分割収集法の臨床的有用性の確立、およびSPECT検査を含む単光子放出核種を対象とした核医学検査における分割収集法の確立に至るまでの十分な研究成果を得ることはできなかった。
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