研究課題/領域番号 |
25861117
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
大町 千尋 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (20588967)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 人体等価ファントム / 粒子線治療 / 3Dプリンタ |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、3Dプリンタを利用した患者固有の人体ファントムの作成及びそれを利用した強度変調陽子線治療にける線量分布検証手法の確立である。治療計画CTに基づいて作成したファントムを利用することで、体内での線量分布に限りなく近い線量分布を測定することが可能であり、治療計画の検証作業の精度向上と効率化、障害事象の予見等、治療の品質向上について検証する。 平成26年度は、前年度に行ったファントムの作成について体表面の造形手法と体内空洞の作成について研究を進めた。 体表面の造形については、CTの加工領域内における体表面を自動的に検出するアルゴリズムを作成し、抽出したデータを基に骨構造と同時に体表面を3Dプリンタで造形した。この作成した骨模型と体表面の模型をゼラチン等の水等価物質と共にケース内に封入した後、模型の表面部分を除去することで現実的な体表面を再現した。これにより線量分布を水等価空間での分布に変換することなく、治療計画と直接比較することが可能となった。作成後の時間経過に伴う骨構造の膨張とゲルの収縮については、進行が緩やかであるため問題が無いと考えているが、詳しくは来年度に検証する。 体内空洞については、ウレタンフォーム等の発泡性の素材を封入することで、空洞領域を確保した。CTによる検証では空気に近いCT値が得られていることが確認できた。 ファントム材質については、3Dプリンタによる周辺組織の造形と液体石膏による骨構造の再現についても検証を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ファントムの改良については概ね順調に進んでいるが、線量測定及びその検証についてはやや遅れが生じている。理由としてファントムの改良に時間がかかったことと、線量測定に際しては当初予定していたファントムへのチェンバ孔の加工などの実現が難しく、想定していた測定項目を達成することが出来なかった。次年度以降は測定項目及びその内容を検証する。また、新しい造形手法によるファントムを作成する。
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今後の研究の推進方策 |
体内空洞等の加工について、精度改善を検討する。 石膏粉末による骨の造形では、密度が若干高くなってしまうことが判明しているため、新しい造形手法によるファントムを作成する。 素材の組み合わせと作成手法を変化させたファントムを作成し、ビームを利用した測定結果を基に最適な手法について検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究計画に若干の遅れが発生しており、26年度内に購入予定の物品が27年度に移行した事と、研究内容の増加に伴い購入物品の内容を変更したため。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度使用額は海外学会における研究報告と、線量測定のための模型作成に充てる。
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