研究課題/領域番号 |
25861119
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 岩手医科大学 |
研究代表者 |
伊藤 賢司 岩手医科大学, 医学部, 研究員 (80646852)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 拡散テンソル / 軽度認知障害 / アルツハイマー病 / 海馬傍回帯状束 / 後部帯状束 |
研究概要 |
本研究では、7テスラ高解像度拡散MRIを用いたアルツハイマー病(AD)の超早期診断法の確立を行うために、まずは3テスラ高解像度拡散テンソル画像より、FA, MD, DA, DRの全脳拡散パラメータマップの算出と解剖学的標準化を行った後、アトラス手法による微小神経線維の高精度自動画像解析法を考案し、軽度認知障害(MCI)の早期診断能および進行予測能を検証した。具体的には、既に取得した高齢健常者25例、MCI-non converter 20例、MCI converter 20例、AD 20例の臨床MRIデータを後方視的に収集し、JHUテンプレートを用いて帯状束の亜区域(海馬傍回帯状束、後部帯状束)を検討した。対照群に比し、海馬傍回帯状束ではMCI converterおよびAD群で、後部帯状束ではAD群で拡散指標に有意な変化を認めた。これは、ADの前駆期でも海馬傍回帯状束内の神経線維に既に変化が生じていることを示唆している。また海馬傍回帯状束の変化は、後部帯状束に比し明瞭であった。MCI converterと対照群の識別能は、FAでは感度が、MDとDAでは特異度が高い傾向があり、複数の指標を総合的に評価することで、MCI患者のAD移行の診断精度が向上する可能性がある。高解像度容積拡散テンソル画像による本解析法は、ADに移行するMCI患者の海馬傍回帯状束の微細な変化を検出することができ、ADに移行するMCI患者の早期診断に対して有用であることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
画像解析法は確立しつつあるが、7テスラによる超高解像度容積拡散イメージング法はハードウェアに依存するものが多く、その導入までに時間を要している。今年度中に開発を行い、検討したい。
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今後の研究の推進方策 |
3テスラMRIで独自に開発した容積拡散イメージング法を7 テスラMRIに移植し最適化する計画である。局所励起・多断面励起・高次周波数空間パラレルイメージングなどの技術を組み合わせることで、超高解像度等方性ボクセルを実現し、健常ボランティアに対して磁場強度別に評価し、比較検討する。また早期MCI患者と高齢健常者を前方視的にリクルートし、ベースラインを撮像する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
25年度に7テスラによる超高解像度容積拡散イメージング法の開発を行い、健常ボランティアに対して撮像を行うとともに学会にて発表する予定であったが、その準備に時間を要しており、学会参加費等の未使用額が生じた。 このため、高解像度容積拡散イメージング法の開発・解析と学会での発表を次年度に行うこととし、未使用額はその経費に充てることとしたい。
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