研究課題
MRIによる頸動脈プラークの性状識別は、頸動脈内膜剥離術の術中の塞栓性合併症の予測のために非常に重要であり、従来のT1強調画像に代わり3D fast spin-echo (FSE) T1強調画像が用いられつつあるが、実際にそのプラーク性状識別能は不明である。そこで我々は、3D-FSE T1強調画像と従来の2D-SE T1強調画像の所見を頸動脈内膜剥離術(CEA)で得られた病理標本と比較し、プラーク性状識別能を検討した。CEA術前の患者34名に、1.5T MRIを用いて頸動脈の3D-FSE T1強調画像と2D-SE T1強調画像を撮像し、同側の胸鎖乳突筋に対するプラーク相対信号強度を算出した。病理所見をmodified AHA classificationに準じて分類し、それぞれの画像においてCR値を病理所見と比較した。MRIから手術までの期間が3か月以上あった3名を除外し、31名が解析対象となった。3D-FSE T1強調画像では、type VII(石灰化)、VIII(線維)に分類されたプラークは筋と等信号(0.94-0.97、0.95-1.29)、type IV-V(脂質/壊死)は軽度高信号(1.33-1.54)、type VI(出血)は高信号(1.53-2.12)を呈した(p<0.001)。2D-SE T1強調画像においても、type VII、VIIIは筋と等信号(0.79-1.02、0.88-1.19)、type IV-Vは軽度高信号(1.17-1.46)、type VIは高信号(1.55-2.51)を呈した(p<0.001)。不安定プラーク(type IV-V、VI)を識別する際の感度・特異度は、3D-FSE T1強調画像ではともに100%、2D-SE T1強調画像ではそれぞれ100%、91%であった。3D-FSE T1強調画像のプラーク性状識別能は2D-SE T1強調画像と比較して高く、今後のMRプラークイメージングの手法として有望と思われた。
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American journal of neuroradiology
巻: 36 ページ: 751-756
10.3174/ajnr.A4197