研究実績の概要 |
高磁場3テスラ MRIを用いて撮像した拡散テンソル像を解析し、中年の肥満者においてbody mass index(BMI)に関連して微細な変化が生じる大脳白質部位を初めて同定し、海外有力学術誌に掲載された(Shimoji K, Aoki S, et al. Diabetes Care 2013 Mar;36(3):696-700.)。掲載論文では若年肥満者群と正常対照群を比較検討し、右前頭後頭縦束や脳梁において若年肥満者群で異方性比率 (fractional anisotropy:FA値)が有意に低下していることを示した。この結果は神経症状が全くない若年肥満者であっても、既に大脳白質にはネットワーク機能が低下している部位が存在することを示している。 また高磁場3テスラ MRIを用いて撮像した拡散テンソル像を解析し、diffusional kurtosis imaging法を用いて、高血圧の中年男性では血管障害の顕在化前から微細な白質変化が生じていることを明らかにした。(Shimoji K, Aoki S, et al. Diffusional kurtosis imaging analysis in patients with hypertension. Jpn J Radiol. 2014 Feb;32(2):98-104.)。 3D-T1強調像をVBMの手法を用いて灰白質容積の評価を行い、メタボリックシンドロームに特異的な脳萎縮の同定を試みたが、有意な結果は得られなかった。 fMRIデータから安静時に賦活化されるデフォルトモードネットワークの機能をメタボリックシンドローム群と健常対照群で評価し比較検討したが、有意な結果は得られなかった。 解析により得られた脳萎縮、白質障害の定量値を認知機能検査や心理テストとの相関解析も行ったが有意な結果は得られなかった。
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