研究課題/領域番号 |
25861128
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
古徳 純一 帝京大学, 医療技術学部, 講師 (70450195)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 3次元計測 / 距離画像カメラ / トラッキング / 並列計算 / レジストレーション |
研究概要 |
本研究は、距離カメラなどによる非侵襲の患者体表面3次元計測の技術と、大規模分散処理によるレジストレーション計算の融合したシステムのプロトタイプの開発を目指すものである。平成25年度の成果は以下の通りである。 1)距離画像カメラを用いた非侵襲3次元リアルタイム計測システムのプロトタイプ制作:マイクロソフト社製の距離画像カメラKinectを用いて、患者体表面の動きをリアルタイムに計測することで、商用の腹圧ベルトなどのセンサーと全く遜色ないレベルで、非侵襲でありながら体表面の多数点で同時に呼吸波形を取得できることを可能にした。従来は、数mmといわれていたKinectの距離分解能を、革新的なアルゴリズムを用いることで、一気に10倍程度向上させることに成功した。 2)多数のカメラによる3次元再構成:患者位置の高精度な情報取得のため、既存のカメラによる複数枚の画像から、患者の3次元位置を再構成することに成功した。高速なアルゴリズムを使用することで、患者セットアップの大幅な労力削減につながると期待できる。 3)大規模分散処理を用いたレジストレーションシステムの開発:患者体内の解剖学的変化を時系列に追跡する処理を行うため、本学医学部附属病院にコンピュータ6台をギガビットイーサーでつなぎ、PCクラスタを構築した。構築したクラスタ上に、MPIを導入し、CPUの並列計算の環境を整えた。Bスプラインを用いた非剛体レジストレーションシステムの並列化に取り組み、シングルプロセッサを用いた計算よりも、10倍の速度で計算が行えることを確かめた。精度は商用のものと比べて遜色ない精度であることを確かめた。 これらの研究成果をアメリカ医学物理学会、第106回日本医学物理学会学術大会、第107回日本医学物理学会学術大会での口頭発表、群馬大学、順天堂大学での招待講演として発表した。また、医学物理学会の優秀研究賞を受賞した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的は、距離カメラなどによる非侵襲の患者体表面3次元計測の技術と、大規模分散処理によるレジストレーション計算の融合したシステムのプロトタイプの開発を目指すものである。必要な要素技術は、大雑把ではあるが、現段階で機能することが確かめられた。その意味で、目的達成のベースラインはすでにクリアしている。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度は、これらの成果をさらに推し進め、GPUを使った並列計算などさらなる高速化と大規模並列計算に適した形に実装する。さらに、患者の動きや体表面の情報をリアルタイムに取得できる距離カメラからの情報を使い、 患者の動きを取り入れた革新的なレジストレーション手法の開発を行う。 これらの研究成果を国内、海外の学会で発表するとともに、国際的な学会誌への論文投稿を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度の計画に対して、予定の助成金では足りない恐れが生じたため。 次年度は、アメリカ医学物理学会(AAPM)で当該の成果を発表するための参加費、旅費、および国内の学会、研究会での発表の参加費、旅費を計上する。また、論文発表のための費用が必要である。
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