研究課題
若手研究(B)
本研究の目的は油性造影剤であるリピオドールと多種溶剤との溶解により、低粘稠度の新たな油性造影剤を開発・臨床応用することである。リピオドールは血管内治療の領域において肝細胞がんに対する肝動脈化学塞栓術と、液体塞栓物質であるn-butyl cyanoacrylate(NBCA)を用いた血管塞栓術の際の薬剤担体として用いられている。粘稠度リピオドール溶解液の普及は、これらの分野における治療効果と水準の向上させ得るものであり、ここに本研究の意義と重要性がある。初年度である平成25年度は、リピオドール単体の温度別の粘稠度測定と多種溶剤との混合液作成を開始した。リピオドール単体の粘稠度に関しては客観性と再現性のある結果を導くことができ、また、リピオドールと複数の脂肪酸製剤との安定性のある混合溶液を作成するに至った。更に、次年度に予定する動物実験(安定化低粘稠度リピオドール溶解液を用いたVX2ウサギ肝腫瘍モデルに対する肝動脈化学塞栓術)に向けた予備実験として、VX2腫瘍のウサギの肝臓への植え込みおよび肝動脈塞栓術を、動物愛護の理念に十分に則った上で実際のウサギに対して行った。これを通じて適正な腫瘍取扱いと安全な実験技術を身につけることができた。研究発表としては、次年度以降に行う粘稠度リピオドール溶解液の有用性に関する研究成果報告の導入とすべく、リピオドールの代表的使用法である肝動脈化学塞栓術とNBCAを用いた塞栓術に関する論文発表と学会発表を行った。また、国内学会である第72回日本医学放射線学会、第42回日本IVR学会総会、第29回日本脳血管内治療学会学術総会や国際学会であるSociety of Interventional Radiology 2014に出席し、血管内治療の領域における先進的なリピオドールの使用法の知見を深め、現状の問題点と今後の課題・発展性を検討した。
3: やや遅れている
当初の計画では、流体力学的実験(リピオドールの温度環境と粘稠度の関係の究明と、脂肪酸混和による安定化低粘稠度リピオドール溶解液の作成)を終え、学会での発表と学術論文の作成に取りかかっている予定であった。適切な混和溶剤の選定と準備において予定を上回る期間を要することとなり、流体力学実験の途中となっている。
次年度以降に抗腫瘍効果を通じて低粘稠度リピオドール溶解液の有用性の証明を意図して動物実験(安定化低粘稠度リピオドール溶解液を用いたVX2ウサギ肝腫瘍モデルに対する肝動脈化学塞栓術)を行う予定である。抗腫瘍効果の評価には病理学的検討が必要であるが、病理標本作成と検体評価に期間が長引き期限内に研究を遂行し得ない可能性がある。まず、次年度の初頭に現状の進行状況を踏まえて再検討を行い、期限超過が危惧される場合には実験計画を一部改訂し、NBCAと低粘稠度リピオドール溶解液を用いた塞栓術の実験モデルへの変更を検討する。
実験計画に遅れがでているため、いくつかの計画が次年度に持越しになったため抗腫瘍効果を通じて低粘稠度リピオドール溶解液の有用性の証明を意図して動物実験(安定化低粘稠度リピオドール溶解液を用いたVX2ウサギ肝腫瘍モデルに対する肝動脈化学塞栓術)を行う予定である。抗腫瘍効果の評価には病理学的検討が必要であるが、病理標本作成と検体評価に期間が長引き期限内に研究を遂行し得ない可能性がある。まず、次年度の初頭に現状の進行状況を踏まえて再検討を行い、期限超過が危惧される場合には実験計画を一部改訂し、NBCAと低粘稠度リピオドール溶解液を用いた塞栓術の実験モデルへの変更を検討するとともに成果発表に向け準備をする
すべて 2013 その他
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (2件)
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