研究課題
平成26年度は主に動物実験を行った。リピオドールの粘稠度は温度により変化することが知られているため、リピオドールと液体塞栓物質であるn-butyl cyanoacrylate (NBCA)との混合液を異なる温度環境下で用いた血管塞栓術を行った。具体的には、ウサギの腎動脈より3度/20度/50度と3種の温度のリピオドールとNBCA混合液を注入し、腎臓を摘出して病理学的評価を行うことで、リピオドールの末梢到達性を温度別に比較した。結果より、高温であり、粘稠度が低いほど、末梢到達制が高くなるという傾向を示すことができた。更に、今後予定するウサギ肝腫瘍に対する肝動脈化学塞栓術の実験に向け、VX2腫瘍のウサギの肝臓への植え込み実験を行うことで、初年度よりも精度と再現性の高い腫瘍発現が可能となった。また、並行して、リピオドールと多種溶剤との混合液作成を行い、酢酸との混合液の流体安定性と粘稠度を評価した。国内学会である第73回日本医学放射線学会、第42回日本IVR学会、国際学会であるCIRSE2015に出席し、血管内治療の領域におけるリピオドールの応用的使用法に関する知見を深め、混合の課題を検討した。
3: やや遅れている
当初の予定では、低粘稠度リピオドール溶解液を用いたウサギ肝腫瘍に対する肝動脈化学塞栓術を終了し、結果を検討しつつ論文を作成している段階であった。リピオドールとNBCA混合液を用いた塞栓術およびVX2腫瘍発現のための予備実験において、予定を上回る期間を要することとなり、肝動脈化学塞栓術は次年度に繰り越されることとなった。
次年度は低粘稠度リピオドール溶解液を用いたウサギ肝腫瘍に対する肝動脈化学塞栓術を行い、病理学的に抗腫瘍効果を評価する予定である。病理標本作成と検体評価に期間が長引き期限内に研究を終了し得ない可能性がある。まず、次年度の初頭に進行状況に関する再検討を行う。期限超過が危惧される場合には実験計画を一部改訂し、NBCAと低粘稠度リピオドール溶解液を用いた塞栓術の実験モデルへの変更を検討する。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (2件)
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