研究課題
若手研究(B)
核医学検査の1つである単光子放射断層撮影(SPECT)は、放射性医薬品を被検者に投与して投与された極めて微量の放射性薬剤の体内放射能分布を画像化するもので、脳血管障害や虚血性心疾患の診断技術として広く有効性が認知されている。近年ではアルツハイマー型認知症に代表される脳変性疾患認知症の早期診断や分子イメージング技術としても着目されている。しかしながら、SPECTは測定原理上、量子雑音が多く、かつ医療画像の中でも空間分解能が低いため、短時間で高い感度と空間分解能を実現できる手法の研究が極めて重要である。本研究では、特別なハードウェアを用いずに良質な画像を形成できるHybrid SPECT画像再構成法(非対称SPECT収集と補間投影データ法を組み合わせ逐次近似画像再構成法で画像形成する手法)を研究開発している。本研究の実施計画は、①補間投影データ法の最適化および汎用型二検出器型ガンマカメラ装置における年間感度変動の調査、②収束を制御する緩和係数を導入した逐次近似画像再構成法の開発および緩和係数の最適化、③ファントムを用いた汎用型二検出器型ガンマカメラ装置での検証、から成る。今年度は①について研究を進めるために計算機シミュレーションで作成した数値ファントムを用いて最適な補間投影データ法を検討した。また、汎用型二検出器型ガンマカメラ装置を用いて、1年間の感度変動を調査した。最適な補間投影データ法は投影データ数に依存する可能性が示唆された。また、汎用型二検出器型ガンマカメラ装置の感度は年間を通じて一定ではなく、気温(室温)の影響を受けると示唆された。
2: おおむね順調に進展している
(1)補間投影データ法の最適化については、計算機シミュレーションによる数値ファントムで検討が進んでおり、おおむね順調に進展している。(2)汎用型二検出器型ガンマカメラ装置の感度変動を調査するために、欧米や本邦で定められた性能評価法(均一性測定法や感度測定法)を情報収集しておく必要がある。最新の規格を入手し、各種測定方法の情報収集は着実に進んでいる。(3)汎用型二検出器型ガンマカメラ装置における1年間の感度変動は、月に一回の頻度で均一性や感度を測定しており、おおむね順調に進展している。
(1)計算機シミュレーションで検討した最適な補間投影データ法が、汎用型二検出器型ガンマカメラ装置に実装できるか、また装置の年間感度変動を継続して検討する。(2)緩和係数を導入した逐次近似画像再構成法の開発に着手し、知識提供者から支援を受けて本法の妥当性を検討する。(3)本研究に関係する各種手法(感度測定法、補間方法および画像再構成法など)の研究動向を情報収集する。
当該年度の研究費は、ほぼ計画通りに使用した。年度末に予定していた支出が、請求書未着のため2014年4月の支払いとなったため僅かに研究費が残った。①本邦および欧米の研究動向を入手するために、国内外の学会に参加する。②知識提供者との情報交換するため出張する。③感度変動の調査に必要な放射性医薬品の購入、国際学会での発表や論文執筆に利用するコンピュータソフトウェアを購入する。
すべて 2014 2013 その他
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 1件) 図書 (3件) 備考 (1件)
核医学技術
巻: 33 ページ: 377-420
日本放射線技術学会雑誌
巻: 69 ページ: 648-654
http://www.kyoto-msc.jp/international/research.html