研究課題/領域番号 |
25861134
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 兵庫医科大学 |
研究代表者 |
土井 啓至 兵庫医科大学, 医学部, 助教 (50529047)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 放射線防護 / 放射線治療 / プラバスタチン / 肥満 |
研究概要 |
C57BL/6Jマウスを使用して実験を行った。無投薬群とプラバスタチン投与群を設定した。プラバスタチン投与マウスには放射線照射に先駆け、プラバスタチンを経口投与した。放射線照射は150 kv、20 mAの動物実験用放射線照射装置を使用して15Gy、1回の全身照射を施行した。放射線照射後にはマウスを安楽死させ、腸管をはじめとする種々の臓器を摘出した。ホルマリン固定後、H&E染色し、組織学的評価を行なった。組織学的には空腸・回腸でプラバスタチン投与群において無投薬コントロール群と比較して、腸管上皮細胞の単位体積あたりのアポトーシスに抑制がみられたものの統計学的な有意差はみられなかった。現在、プラバスタチンの放射線防護効果について対象個体数を増やし、放射線照射方法を見直して検討を行っている。他方、高脂肪食によって飼育した肥満マウスを使用して我々の実験手技が問題なく施行可能であることを確認した。正常組織への放射線障害に肥満がもたらす影響について、さまざまな経過観察期間を設定し今後の検討を予定している。また、肥満の有無によるスタチンの放射線防護効果へもたらす影響も検討を予定している。我々は、放射線治療後に患者体格とBMIが及ぼす影響について前立腺癌患者を対象にした後ろ向き検討を行い、BMI高値群では直腸線量が低く、消化器合併症の頻度が低い一方で、尿路合併症が高頻度にみられることを報告した [Oncology Letter. 2014 January; 7(1): 209-214.]。現在、患者体格が放射線治療に与える影響に関する臨床試験を学内の倫理委員会の承諾を得て開始している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
必要物品や薬剤など購入の上、施設の動物実験委員会の承諾を得て、実験を開始することが出来た。また、予備試験として一定の結果を得ることが出来、次年度以降の研究が円滑に進むための準備を整えることができている。
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今後の研究の推進方策 |
高脂肪食によって飼育した肥満マウスを使用して、放射線照射後急性期から晩期にわたる経時的な変化と、スタチンの放射線防護効果に肥満がもたらす影響について検討予定である。また、患者体格に関する前向き試験から得られたデータを元に、放射線治療精度に患者体格がもたらす影響についてデータの解析を予定している。
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次年度の研究費の使用計画 |
本年度では肥満マウスを使用した実験は予備試験にとどめ、飼育期間を短縮した。これに伴って、高カロリー食と比較食の購入費は抑制した。このため、次年度使用額が生じた。 次年度では本年度の研究結果に基づいて実験動物の個体数を増やして本試験を行う。このため、投与薬剤の補充および飼育費の補填に充てる予定である。
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