研究概要 |
アミノレブリン酸 (ALA) の5位に[C-11]メチル基を導入した[6-11C]5-amino-4-oxo hexanoic acid ([C-11] MALA) の合成法を検討した。[C-11]メチル化反応条件の最適化を行い、DMSO中、塩基に0.2等量のtetrabutylammonium fluorideを利用し、室温90秒間の反応により、75.6%の放射化学的収率でメチル化体を得た。NaOH水溶液によるエステル加水分解は、穏和な条件 (0.1 N, 室温, 90秒) で進行し、強塩基の使用や加温により副生成物の割合が増加した。最後に0.4 N HCl水溶液を加え、室温で90秒間でイミンを加水分解した。これらの反応条件で遠隔自動合成を行い、HPLCにより精製を経て、照射終了から35分と短時間に、4.4%の収率で[11C]MALAを97.5%の放射化学的純度で得る方法を確立した。 [C-11] MALAのin vitroにおける安定性を、PBSおよびマウス血漿中で評価したところ、いずれも一時間後まで安定に存在した。 5種のヒト腫瘍由来細胞株 (AsPC-1, SkBr-3, U-87 MG, BxPC-3, MIA PaCa-2) を用いた細胞取込み実験の結果、AsPC-1に最も高く[C-11]MALAは取り込まれた。その取り込みは、ALAおよびALAの輸送に関与すると知られるトランスポーターの阻害剤の添加によって濃度依存的に阻害され、ALAと類似した機序により細胞内に取り込まれると考えられた。各細胞における[C-11]MALAの取り込み量と[H-3]ALAの取り込み量は相関しなかった一方、[C-11]MALAの取り込み量とALAをインキュベートした際に生成するプロトポルフィリンIX (PpIX) の量とは相関し、[C-11]MALAを用いたPETが腫瘍におけるPpIX蓄積量を予想できる可能性が示された。
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