研究課題
アミノレブリン酸 (ALA) 投与時の腫瘍におけるプロトポルフィリンIX (PpIX) 蓄積量を定量評価する画像診断法を開発するため、C-11標識ALA誘導体の設計、標識合成法の確立、腫瘍細胞株および皮下腫瘍モデルマウスを用いた評価を行った。ALAの5位に[C-11]メチル基を導入した[6-11C]5-amino-4-oxo hexanoic acid ([C-11] MALA)を、ALAエステルのSchiff塩基誘導体のC-11メチル化と続く脱保護反応により、照射終了から35分と短時間に、4.4%の収率で[C-11]MALAを97.5%の放射化学的純度で得る方法を確立した。[C-11] MALAのin vitroにおける安定性を、PBSおよびマウス血漿中で評価したところ、いずれも一時間後まで安定に存在した。[C-11]MALAの腫瘍細胞株およびマウス皮下移植腫瘍への集積量は、それぞれの腫瘍にALAを添加した際に生成するPpIX量と相関した。最終年度には[C-11]MALAの腫瘍集積機序を推定するため、[C-11]MALAの生体内における安定性の評価と、[C-11]MALAのアミノレブリン酸デヒドラターゼ (ALAD) への結合を評価した。[C-11]MALAは生体内において安定に存在し、未変化体として腫瘍に集積した。In vitro, in vivoにおける[C-11]MALAの腫瘍集積量はALADの発現量と相関し、in vitroにおいてはALAとALADの相互作用をMALAが阻害した。これらの結果は、[C-11] MALAの腫瘍取り込みが、アミノレブリン酸の腫瘍への取り込みおよび腫瘍内におけるアミノレブリン酸デヒドラターゼによる代謝を反映することで、アミノレブリン酸投与時のプロトポルフィリンIX蓄積量を予測できる可能性を示す。
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