研究課題/領域番号 |
25861140
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 独立行政法人放射線医学総合研究所 |
研究代表者 |
須堯 綾 独立行政法人放射線医学総合研究所, 分子イメージング研究センター, 技術員 (00415415)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 膵臓がん / モデルマウス / 放射性標識抗体 |
研究概要 |
膵臓がん細胞株(MIA PaCa-2、AsPC-1、BxPC-3、PANC-1)とマウス由来細胞(A4)でEMMPRINの発現量と発現場所の比較をウエスタンブロット法と免疫蛍光染色行った。さらにヌードマウスに膵がん細胞とA4細胞を皮下移植し、腫瘍形成能を調べ、その腫瘍の免疫染色を行い、最も発現の高いMIA PaCa-2と発現の見られなかったA4細胞をネガティブコントロールとして移植したマウスをモデルマウスとした。またMIA PaCa-2の細胞と皮下腫瘍片をマウスの膵臓に注入または移植したモデルマウスも作成した。抗EMMPRIN抗体の放射性ヨウ素(I-125)標識はクロラミンT法で行った。放射性ヨウ素は内在化する抗体のイメージングに適していないため、内在化抗体に有用な金属核種(Ga-67、Zr-89)の標識も行った。EMMPRINの発現が最も高いMIA PaCa-2細胞に対する結合能、結合の特異性(非標識抗体による阻害実験)や抗体の内在化を調べた。皮下腫瘍モデルマウスで放射性標識抗体(I-125、Zr-89)の体内動態分布を解剖法により調べ、経時的(投与後 1、2、4、6 日)にサンプリングし、採血後に、主な臓器と腫瘍を取出し、重量と放射線量を測定した。次に、経時的な PETイメージングを実施し、解剖法との乖離がないか確認し、どちらも他の主要な臓器並びにA4腫瘍に比べMIA PaCa-2腫瘍への集積が高いことが明らかとなった。同所腫瘍モデルマウスでのイメージングも実施し、膵臓に移植した腫瘍もイメージングできることを確認した。Zr-89標識抗体によって、EMMPRIN高発現の腫瘍を、感度高くイメージングできることが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
実験に使用する抗体の選択に時間がかかるかと思われたが、実験に適した抗体をスムーズに選択することができたので、26年度に行う予定だったイメージングの実験まで終了しており、研究は当初の予定より順調に進行していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
In-111での標識を行い、皮下腫瘍モデルマウスでの分子標的内照射治療実験を行い、腫瘍臓器および腫瘍への集積を定量する。外照射治療実験により、予め効果のある線量を求め、In-111標識抗体で推定した吸収線量からY-90標識抗体の最大耐用容量を算出する。それに基づいてモデルマウスに異なる量を投与し、週2-3回、腫瘍径と体重を測定し、治療効果を評価する。また、治療効果の機構解析として、治療中の腫瘍を経時的に摘出し、腫瘍組織への影響を病理学的に調べる。MMPやVEGFR等の発現や血管新生、アポトーシス等の経時的な変化を腫瘍の免疫染色により解析する。
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次年度の研究費の使用計画 |
実験に適した抗体の比較検討が当初の予定より少ない回数ですんだため、高額である抗体の購入費用が抑えられた。 Y-90標識抗EMMPRIN抗体治療により生じた下流の遺伝子の変化を調べるため、それら遺伝子を検出する抗体を購入する。
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