研究概要 |
【目的】血漿中腫瘍由来DNAは癌の診断、分子標的薬の感受性予測に有用であることが知られている。当院では放射線治療後に血中に流出する腫瘍由来DNAを用いて癌の診断、薬剤感受性予測の解析法確立を目的とした前向き観察研究を施行しており今回その中間解析を行った。 【方法】2013年7月より当院にて放射線定位照射(50 Gy/4 fr, 75 Gy/25 fr)となった肺非小細胞癌患者を対象とした。放射線治療前の患者血漿を標準とし、それぞれ12.5 Gy, 25 Gy,37.5 Gy, 50 Gy照射終了時、または18 Gy, 39 Gy, 57 Gy, 75 Gy終了の時点で採血を行いDNAを単離し、総量を計測した。回収したDNAに対してPCR Invader法によりEGFR変異を調べ生検検体と比較した。 【結果】肺非小細胞患者T1aN0M0 3例、T1bN0M0 1例、術後再発2例が登録,線量は50 Gy/4 frが4例、75 Gy/25 frが2例であった。放射線治療前の血漿中DNAの中央値は20.3 ng/mlであり放射線治療後の血漿中DNAの中央値は121.3 ng/mlであった。事前の生検検体よりEGFR(T790M)変異を認めた症例は1例であり、同症例では放射線治療前の血漿中DNAからはEGFR変異は検出されず、治療後の血漿中DNAからはEGFR変異が検出された 【考察】放射線治療後に血液中に腫瘍由来DNAが増加することが示された。今後は症例の集積後、次世代シークエンサー解析による診断、EGFR以外の変異解析の手法を確立する。
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