研究課題/領域番号 |
25861146
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
後藤 了一 北海道大学, 大学病院, 医員 (10645287)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 抗原特異的 / ヒト化マウス / 制御性T細胞 / NSGマウス |
研究概要 |
本研究はドナー抗原特異的な免疫抑制効果を持つヒト免疫細胞を作成し、その移植グラフトに発生する血管病変に対する治療効果を検討する目的で施行している。ドナー抗原特異的免疫抑制細胞は当科で進行中である臨床研究、「生体肝移植におけるドナー抗原特異的制御性T 細胞の免疫寛容誘導効果の検討」(Yamashita K., American Transplant Congress, 2013, Seattleにて口演)においてその方法論は確立している。当該年度では同方法を用いて、2人のhealthy volunteerの末梢血から採取したリンパ球から、共培養した他者の抗原に対して特異的に抑制作用を持つ抗原特異的ヒト抑制細胞を誘導しえることを確認した。この抑制性リンパ球が、in vitroの混合リンパ球培養において、3rd party ヒト抗原刺激に比較して、特異的に共培養したヒト抗原刺激に対して抑制効果を持つことを確認した。一方でヒト化マウスを導入するためにヒト化の効率が最も良いことで知られるNOD/Scid IL-2Rgamma null (通称NSG)マウスを購入し、研究分担者の施設で繁殖させることに成功した。また同マウスにヒトリンパ球の輸注を施行し、ヒトの免疫をマウスに構築しえることを確認した。また最低限必要なヒトリンパ球数は 5x106 個であることを確認した。さらに ヒトリンパ球のうち特にヒトT細胞がNSGマウスの末梢血から分離され、T細胞性免疫が中心であることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
免疫抑制性アナージ細胞の作成とin vitroにおけるその効果、またヒト化マウスの作成については計画通り進んでいる。しかしヒト血管をマウスに移植するモデルの確立が予定より遅れている。理由としてマウスの飼育施設の改築により、in vivoモデルの作成を行えなかったやむを得ない事情がある。
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今後の研究の推進方策 |
今後は実際の臨床研究に向けて、生体肝移植の患者の血液から採取されたリンパ球を用いたヒト免疫細胞のマウス内への構築と、消化器癌の患者さんから採取された手術検体のうち、臨床診断に必要のない1mm以下の血管径を持つ細動脈を採取し、ヒト化マウス血管移植モデルの構築と、血管病変における免疫抑制性リンパ球の効果を検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
当該年度は実験施設新設に伴い、マウスのin vivo実験、特にヒト血管の移植モデルが施行し得なかった事情がある。そのためそれらの研究に必要なマウス購入費、飼育費などの必要経費を次年度に使用する必要がある。 当該年度の基礎データを元に本年度は消化器癌の患者さんから採取された手術検体のうち、臨床診断に不必要な1mm以下の血管径を持つ細動脈を採取し、ヒト化マウス血管移植モデルを構築し、血管病変における免疫抑制性リンパ球の効果を検討する予定である。
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