研究実績の概要 |
時計遺伝子(Clock genes)は, およそ24時間周期で振幅発現する遺伝子であり、その機能により、24時間の周期を示す生物の活動制御されている。時計遺伝子DEC1およびDEC2は、Basic-helix-loop-helix (bHLH) 型転写因子であり、時計中枢である視交叉上核のみならず、全身の組織および細胞で、概日リズムを形成している。また、免疫応答系やさまざまな組織分化の制御、癌化や低酸素応答、アポトーシス制御など、生体内における多彩な制御機能をっている我々は、時計遺伝子発現が、ヒト乳癌細胞株に及ぼす影響を検討した。 我々は、低酸素条件で、ヒト乳癌細胞株MCF-7を培養し、時計遺伝子であるDEC1が低酸素処理後2時間で強発現し、さらに時計遺伝子DEC2が低酸素処理後24時間で強発現を示すことを明らかにした。さらに、低酸素誘導後2時間で、Hypoxia inducible factor-1α(HIF-1α)が強発現し, 低酸素誘導後24時間で、HIF-2αが強発現を示すことも明らかにした。 ヒト乳癌細胞株MCF-7で、HIF-2αをノックダウンすると PI3K/Akt シグナリングを介するリン酸化が抑制され、c-MycおよびDEC2も抑制されることを明らかにした。
|