抗癌剤耐性ABCトランスポーターに対する抑制効果を検討するため、抗腫瘍効果を認めるGO-Y030、GO-Y078の2種のクルクミン誘導体を入手した。ABCトランスポーター実験で頻用されているK562/MDR、K562/BCRP、KB-V1を入手し、細胞培養を行い、RT-qPCRによってK562/MDR、KB-V1にABCB1が、K562/BCRPにABCG2が発現していることを確認した。 当初、クルクミンを用いて細胞毒性試験、FACS 解析を行い、既知の報告の再現性の確認と実験手技の確立に努めた。 細胞毒性試験ではクルクミンの色素による実験への影響などを考慮し適切な試薬を選択することや、均一な濃度の薬剤投与の手技確立などに期間を要したが、徐々に安定した条件を設定することができ、クルクミンがABCB1発現細胞株で抗癌剤(Vinblastine)の感受性を上昇させることの再現性が得られた。この結果をもとに、現在クルクミン誘導体で検討を始めている。クルクミン誘導体の適切な濃度を検証しながら、徐々に抗癌剤感受性に対する効果も検討する予定である。 FACS解析でも、クルクミンを用いた解析の再現に期間を要したが、現在はクルクミン誘導体を用いてABCB1に特異的な蛍光基質であるRhodamine123の細胞内の蓄積が変化するか検討を行っている。 これらABCトランスポーターの機能評価の結果が得られれば、徐々にATPase assay、IAAP assay、動物実験を開始する予定である。また、クルクミン誘導体のABCトランスポーター発現量に対する影響もRT-qPCR、ウエスタンブロットによって検討を進める予定である。
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