ラットより分離した膵島20個ずつを①10%FBS②0.1%sericin③0.1%albumin④0.1%sericin+0.1%albumin⑤10%FBS+0.1%sericinをそれぞれ添加した培地で培養した (n=6).各 50%生存期間は①55日②26日③50日④74日⑤39日で④群が最も良好であった.②群は35日以内,③群は77日に全て死滅した.120日の生存率は①24%④24%⑤13%であり①④群が同等で良好であった. ➀④群の機能評価として7日目と60日目のinsulin release assayを行った.それぞれの培養膵島10個ずつを,3.3mM,20mM,3.3mM glucoseの培地の順に1時間ずつ培養後に各培地のインスリン量を測定した(n=6).stimulation index(20mM glucoseでのinsulin分泌量/3.3mM glucoseでのinsulin分泌量)は,7日目では①2.16±0.56④2.28±0.74で差はなく,60日目でも①1.99±0.58④2.08±0.88と差を認めなかった.倒立顕微鏡で形態を培養中観察したが①④ともに良好な形態を保っていた. 移植効果について,①と④群で60日間培養した膵島800個をそれぞれ糖尿病ラットの腎被膜下に移植した(n=3). レシピエントの血糖の推移を移植後28日間比較したが,全てのラットにおいて良好な血糖コントロールが得られていた.28日経過後にグラフトを摘出すると全てのラットの血糖は400mg/dl以上に再上昇した.摘出した膵島組織をHE染色と抗インスリン抗体による免疫染色で組織学的に比較したが,両群ともに良好な形態を呈していた. 以上より,sericinとalbminを添加した無血清培地での膵島培養は,60日間の培養にてFBSを添加した培地と同等の効果が得られた.
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