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2014 年度 実績報告書

小児肝移植術後急性期における抗ドナーHLA抗体検出の意義の検討

研究課題

研究課題/領域番号 25861154
研究機関京都大学

研究代表者

小川 絵里  京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (30440506)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2015-03-31
キーワード肝移植 / 抗ドナー抗体 / 小児外科
研究実績の概要

小児肝移植後に抗ドナーHLA抗体(Donor specific anti-HLA antibodies:DSA)が長期症例において移植肝の線維化と強い相関関係があることが明らかになっている。
本研究で、小児肝移植患者65例の検討を行った。術後、3年以内のDSA陽性率は38.6%であった。長期経過におけるDSA陽性化率が40%であったため、術後新規DSAは術後数年内に発生していることが判明した。
DSA陽性化した症例の術後2年以内の定期肝生検の病理所見は抗体関連型拒絶反応が9%、急性細胞性拒絶反応が18%、慢性拒絶反応が9%であった一方、DSA陰性症例は急性拒絶反応が4%、慢性拒絶反応、抗体関連型拒絶反応は認めなかった。DSA陽性症例に拒絶反応の所見が有意に認められた。病理学的検討においてc4d染色はDSA陽性症例と相関がみられた。特に、c4d染色強陽性症例とDSAに強い相関がみられ、病理学的抗体関連型拒絶反応の所見と合致した。DSAの存在と生検組織におけるc4d染色が抗体関連型拒絶反応の診断に有効であった。
DSA陽性症例の背景は、ドナー年齢、免疫抑制剤(タクロリムス)の血中濃度(術後3か月、1年目)、EBV感染症、免疫抑制剤の減量(感染症のため)がリスク因子として明らかとなった。術後1か月以内の免疫抑制剤の血中濃度の平均、免疫抑制剤の種類、術後早期の拒絶反応の有無はリスク因子とならなかった。
DSA陽性症例のうち、拒絶反応の所見があった症例について免疫抑制剤の強化が行われ、そのうちの半数でDSAが消失し、さらにDSAのMFI値の低下した症例もあった。免疫抑制剤の強化がDSA陰性化に寄与する可能性が高かった。一方、DSAの存在による肝移植後早期生存率への影響は認めず、早期の肝生検における線維化との相関は認めなかったが、DSAの消失とともに、拒絶反応の所見の改善も見られた。

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公開日: 2016-06-01  

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