研究課題
我々は新規HER2ペプチドワクチンCH401MAPの抗腫瘍効果を確認するため、(1)in vitroにおけるCH401MAP刺激が乳がん患者末梢血単核球(PBMC)に及ぼす効果について、抗体産生を指標に明らかにする。(2)hIL-4TgNOGマウスという、ヒトの免疫系を再構築した免疫不全マウスを用いてin vivoでの特異抗体産生能を評価する。という2項目の研究を行った。結果は以下の通りである。①乳癌患者PBMC(31名)をCH401MAPでin vitro刺激し特異抗体の産生を健常人と比較したところ、患者群では未刺激でも有意に産生が高かったが、刺激による変化は観察されなかった。②乳癌患者PBMCを同マウスに輸注しCH401MAPで免疫した系ではヒトIL-2の産生を認めた。同マウスでヒト免疫系を構築できたことが確認できた。また、通常の免疫不全マウスであれば長期間の観察でGVHDを生じることがほとんどであるが、本研究においては1例も生じることはなく、移植4週間後に特異抗体の検出が可能である事が明らかとなった。免疫系を観察する上での前臨床試験マウスとしての有用性が示された。③hIL-4TgNOGマウスへ2名の乳癌患者の癌組織片を移植したところ、生着は観察されなかった。ついでヒト乳癌細胞株SKBR3を移植したがやはり生着は観察されなかった。腫瘍浸潤性リンパ球が影響した可能性、もしくは癌の組織型が増殖の遅いタイプであった可能性が考えられ、さらに条件検討をする必要性が示された。以上の結果、抗体産生能の評価はin vitro刺激ではなくIL-4-Tg-NOGマウスへのPBMC移植により可能となった為、今後はさらに臨床検体数を増やしてペプチドワクチンの患者候補の選定に用いる事を検討している。一方、腫瘍組織の移植については、乳がん組織片の生着の条件検討を行う予定である。
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Vaccines & Vaccination
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