本年度は、昨年度より継続している当施設の実験室の耐震工事のため、年度前半は実験を中断せざるを得なかった。年度後半より実験を再開したが、一旦工事中に待避させた測定システムを再セットアップしなければならず、そのためのケーブルの修復・コネクターの作成、アンプ等の機器の校正(calibration)、コンピューターの再セットアップ等の作業を要し、システムを安定化させるまでに多大なる時間を必要とした。 システムの再セットアップを終えた後、そのシステムを用いて改めて計画書の如く動物モデルを作成した。ビーグル犬に対し全身麻酔を導入し、まず術後の点滴・薬物投与のルートとして使用する目的で、右の外頚静脈から上大静脈内にシリコンチューブを留置した。その後正中切開で開腹し、消化管運動測定用のstrain gauge force transducerを輪状筋収縮が測定出来るように、回腸末端、近位結腸、中部結腸、遠位結腸の4カ所に縫着・固定した。術後の疼痛管理には十分に配慮した。術後2週間経ったところで、小コネクターと消化管運動測定用のアンプとを接続し、意識下で消化管運動の測定を開始した。消化管運動の波形は、アンプからコンピューターへと取り込み、消化管運動解析用のソフトウエアー(MacLab)を用いて解析し、システムが再びきちんと機能することを確認した。 上記の事情より、本年度は初年度の実験の継続という形になり、新たなモデルを作成した上での次の実験には至らなかった。
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