大腸全摘・回腸嚢肛門吻合術の晩期合併症として回腸嚢炎が発生することがあるが、その発生頻度は潰瘍性大腸炎で高く、家族性大腸腺腫症ではほとんど認めない。回腸嚢炎の発症機序は未だ不明であるが治療に抗生剤やプロバイオティクスが有効であることから、腸内細菌叢との関連性が示唆されてきた。本研究の目的は、潰瘍性大腸炎が遺伝的背景をもとに、術後の腸内細菌のいったい何が変わることによって本来病変の存在しなかった回腸に炎症が生ずるのかを明らかにすることである。さらには、「回腸嚢炎は、術後の回腸嚢に起こる潰瘍性大腸炎の再燃であり、潰瘍性小腸炎である」とする仮説に基づき、潰瘍性大腸炎の病因究明につなげることである。
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