研究課題
癌の抗癌剤・放射線治療抵抗性や再発には、癌幹細胞の存在が関与していると考えられる。近年、低酸素と癌幹細胞との関連が注目されており、エピジェネティック制御機構等の関与が示唆されている。本研究ではこれらの機序に関わる因子及び標的遺伝子を解明し、癌幹細胞制御による新たな治療法を創出することを目標として実験を開始した。低酸素誘導因子による大腸癌の癌幹細胞性維持機構に関して検索していく中で、低プロテアソーム活性がSphere formationの亢進に関わり、低プロテアソーム活性下の大腸癌細胞において各種の幹細胞マーカーが上昇しているなど、大腸癌幹細胞性と密接な関連性を示し、癌幹細胞の抗癌剤耐性(大腸癌治療におけるkey drugである5-Fuとオキサリプラチン)や放射線治療耐性に関与することが明らかとなった。これら、治療抵抗性にかかわる原因遺伝子としてEID3 (EP300 Interacting Inhibitor of Differentiation 3)の関与を証明した。また、その他に低酸素誘導因子と癌細胞の治療抵抗性との因果関係を検索していく中でsecretoglobin, family 2A, member 1 (SCGB2A1)の発現が、幹細胞関連遺伝子であるWnt、Zeb1、Twistの発現と関連性を示すことや、Sphere formation を亢進させるなど、癌幹細胞性と密接に関連していることが明らかとなった。さらに、in vitro実験において抗癌剤耐性や放射線治療耐性とも関連性が証明できた。また、実際の大腸癌切除サンプルを用いた検討でも、SCGB2A1高発現が大腸癌患者の予後因子となりうることを明らかにした。また、低酸素誘導遺伝子であるALDOA (aldorase A)に関してもSCGB2A1と同様に治療抵抗性に関与し、大腸癌患者の予後因子となり得ることを明らかにした。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件) 学会発表 (25件)
Concurrent Targeting of KRAS and AKT by MiR-4689 Is a Novel Treatment Against Mutant KRAS Colorectal Cancer.
巻: 10 ページ: 4:e231
10.1038/mtna.2015.5.
J Biol Chem
巻: 290(10) ページ: 6326-6337
10.1074/jbc.M114.614859
Oncol Rep
巻: 32(6) ページ: 2354-2358
10.3892/or.2014.3515
Cancer Sci
巻: 105(9) ページ: 1100-1108
10.1111/cas.12487
Int J Oncol
巻: 45(3) ページ: 1051-1058
10.3892/ijo.2014.2519
巻: 55(4) ページ: 1521-1528
10.3892/ijo.2014.2316