研究課題/領域番号 |
25861188
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
村上 剛平 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (60621612)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | アシルグレリン(活性型グレリン) / 代謝 / 肝臓 |
研究概要 |
グレリンはペプチド中のSer3がアシル化(オクタン酸付加)された活性型として胃より分泌されるが、末梢血中での活性型は約10%に過ぎず、大部分は非活性型に代謝されている。我々の教室は六君子湯の投与により活性型グレリンが上昇するという報告をしているが(Takiguchi S et al. Gastric Cancer, 2012)、これはグレリンの脱アシル化(非活性化)の阻害作用が関与している。また少数ではあるが臨床検体から肝不全患者は高アシル(活性型)グレリン血症状態であるという知見を得ている。これらのことから、肝臓由来の脱アシル化を促す分解酵素阻が存在すると考え、臨床サンプルを用いて研究を行った。 肝移植待機患者(重度肝機能障害)15例、肝移植後患者15例、肝硬変患者(Child A)10例、コントロール10例のサンプル血漿・血清を収集した。ELISAにより活性/非活性型グレリンを測定した。また、体重、栄養指標、肝機能指標も合わせて評価した。肝移植待機患者サンプル中の活性型グレリンは他の3群に比べ有意に上昇しており、活性型グレリン比率(活性型グレリン/活性型+非活性型グレリン)も有意に上昇していた。肝硬変患者(Child A)では活性型グレリンの上昇は認めなかった。肝移植後患者でも同様に、活性型グレリンの上昇は認めなかったが、肝機能指標はコントロール群とほぼ同程度まで改善を認めた。研究中に肝移植待機の状態から、実際に肝移植を施行した症例を認めたため、移植前後で継時的にサンプル集積を行っている。今後、継時的な変化を評価する予定である。 また、代謝酵素について検討中であり、今後代謝酵素の同定、代謝酵素によるグレリン代謝、代謝酵素阻害によるグレリン代謝の変化を検討する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、10例の移植待機患者(サンプル集積中に実際に肝移植を施行した患者を含む)のサンプルを集積し、ELISAにより活性型グレリン値を評価することができた。また、肝移植前後のサンプルも一部集積できており、今後もサンプルの継時的な集積を続けていく。肝臓由来のグレリン代謝酵素の同定と、その酵素を標的としたin vitroの実験を進めていく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
現在のところ、予定のサンプル集積は終了している。軽度な肝機能障害ではみられないが、肝移植待機患者のような重篤な肝機能障害状態においては活性型グレリンが上昇することが確認できた。今後、グレリン代謝酵素の候補を同定し、in vitroでの代謝、代謝阻害の検討を行う予定である。
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