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2014 年度 実施状況報告書

大腸癌進展におけるSPINK1の分子機構の解明と新規分子標的治療への応用

研究課題

研究課題/領域番号 25861196
研究機関公益財団法人がん研究会

研究代表者

井田 智  公益財団法人がん研究会, その他部局等, その他 (80583038)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワード大腸癌 / 炎症性腸疾患 / SPINK1 / 細胞増殖
研究実績の概要

1)まずヒト大腸癌におけるSPINK1の発現を解析するために、大腸癌切除標本を用いてSPINK1の免疫組織化学染色を行った。226症例中124例(55%)でSPINK1が発現していた。さらにSPINK1は分化型および、より進行度が高い症例で有意に高発現していた(p<0.01)。
2)次に大腸癌細胞に対するSPINK1の増殖促進活性を検討するために、大腸癌細胞株にSPINK1をターゲットとした small interfering RNA(siRNA)を導入し、SPINK1の発現を抑制した。また、ゲノムDNAを改変したminigeneを作製し、細胞内へ導入することでSPINK1の過剰発現系を作成した。まず4種類の大腸癌細胞株(Colo205,HCT116,HT29,SW620)の通常培養下でのSPINK1の発現をRT-PCRにて検討した。細胞によりその発現に差があり、Colo205,HT29での発現が強かった。そこでColo205にSPINK1のsiRNAを導入し、その発現を抑制させると細胞数は有意に減少し、SPINK1の過剰発現によって細胞数は有意に増加した(p<0.05)。SPINK1のマウスホモログであるSpink3のヘテロマウスにアゾキシメタンとデキストラン硫酸ナトリウムを併用して炎症関連大腸癌を発癌させたところ有意に腫瘍個数が減少することを既に昨年度報告している。以上よりin vitro, in vivoの実験系にてSPINK1/Spink3が大腸癌細胞の増殖に寄与する可能性が示唆された。
3)Spink3大腸癌組織での発現解析を行うために、Spink3lacZ/+マウスを作製し、このマウスに先の方法にて大腸癌を発癌させた。癌部の上皮にβ-Galactosidase活性を強く認め、Spink3の癌部での発現を確認した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

遺伝子改変マウスおよび細胞株を用いた実験を通して、実験計画書の仮説通りにSPINK1の発現変化による大腸癌の腫瘍増殖の差異が確認できた点。
ヒトの臨床サンプルを用いてSPINK1の発現解析が行えた点。

今後の研究の推進方策

1)シグナル解析:前述したようにSPINK1/Spink3の発現が大腸癌の増殖に寄与していることが示唆されているため、増殖に寄与するシグナルについて解析を進める。
2)SPINK1に特異的に結合するタンパクの同定を目指し、質量分析計を用いて解析を進める。

次年度使用額が生じた理由

研究代表者の平成26年度途中での施設異動に伴い、前所属の熊本大学消化器外科や熊本大学先導機構との連携、癌研究会内でのがん研究所との連携など、研究体制の再構築が必要となりました。このため、平成26年度の研究計画に遅れが生じ、未使用額が発生した。

次年度使用額の使用計画

現在、大腸癌切除標本からの検体採取のシステムを確立、解析を行う体制が整いつつあります。平成26年度に行う予定であった研究・解析をがん研究所と提携し平成27年度に遂行する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2015

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件)

  • [雑誌論文] SPINK1 Status in Colorectal Cancer, Impact on Proliferation, and Role in Colitis-associated Cancer.2015

    • 著者名/発表者名
      Ida S, Ozaki N, Araki K, Hirashima K, Zaitsu Y, Taki K, Sakamoto Y, Miyamoto Y, Oki E, Morita M, Watanabe M, Maehara Y, Yamamura KI, Baba H Professor, Ohmuraya M.
    • 雑誌名

      Molecular Cancer Research

      巻: - ページ: -

    • DOI

      10.1158/1541-7786.MCR-14-0581

    • 査読あり / 謝辞記載あり

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公開日: 2016-06-01  

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