研究概要 |
AP-1はFos family (c-Fos, Fra-1, Fra-2, FosB )とJun family (c-Jun, JunB, JunD ) からなるヘテロダイマーであり、細胞の増殖・発生・分化・癌化などに重要な役割を担う転写制御因子である。AP-1は、多くの増殖・転移シグナルに関与しており、遺伝子・分子標的治療の強力な標的となる可能性がある。われわれは国立がんセンター外科にて採取した胃癌患者の骨髄、および末梢血よりRNAを抽出し、qRT-PCR法にてFOSB、c-Fos、c-Junについてその発現を検証した。胃癌患者骨髄210例(Stage I 59例, II 50例, III 48例, IV 53例)においてFOSB、c-Fos、c-Junの発現を測定したところ、Stageが進行するごとにその発現が上昇していた(p<0.01)。またc-Fosについては末梢血でも同様にStageが進行するごとに発現が上昇していた(p<0.05)。今回の結果は、進行胃癌患者の骨髄・末梢血液中では、何らかの宿主側細胞由来のAP-1が高発現を来していることを示唆している。我々は、現在関節リウマチに対して使用されているAP-1特異的阻害薬を用いて、in vitroにて癌細胞でも効果があることを確認した。現在はこの薬剤のin vivoでの効果を検討中である。
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