研究課題
【背景と目的】FGFR2は各種固形癌において高発現しており、細胞増殖との関連が指摘されている。今回、食道胃接合部癌におけるFGFR2(遺伝子増幅及びタンパク発現量を検討)の有用性を切除検体及びin vitroにて検討した。【対象と方法】2000年2月から2014年3月までに熊本大学病院及び九州大学病院で切除を行った原発食道胃接合部癌症例176例(手術168例、ESD 8例)を対象とし、FGFR2の発現(遺伝子増幅:リアルタイムPCR法、タンパク発現:免疫染色)と臨床病理学的因子及び患者予後との関連を解析した。またin vitroにて、FGFR2の発現抑制・過剰発現による現象変化・下流のシグナル変化を検討した。【結果】176症例中、遺伝子多型は140症例にて計測可能であり、176症例の免疫染色にてFGFR2は癌部の細胞膜特異的に発現することを確認した。FGFR2の遺伝子増幅は15% (21/140)、タンパク高発現は61% (108/176)の症例で認め、強い相関関係にあった (P <0.05)。しかし、タンパク発現量のみが全生存率と関連を認め (P =0.007)、多変量解析にて腫瘍深達度と強い相関関係にあるという結果であった (P <0.001)。in vitroにおいても同様にFGFR2は細胞増殖と関連しており、下流のAKTおよびERKのリン酸化を介して細胞周期の進行及びアポトーシスの抑制に関与していることが明らかとなった。【まとめ】FGFR2の遺伝子増幅とタンパク発現量は関連を認めたものの、タンパク発現量のみが腫瘍増殖・患者予後と強い相関関係にあった。FGFR2は食道胃接合部癌において有望な治療標的になりうることが示唆された。
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Oncotarget
巻: in press ページ: in press
10.18632/oncotarget.7782