研究課題/領域番号 |
25861211
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
植田 剛 奈良県立医科大学, 医学部附属病院, 研究員 (40526810)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 多能性幹細胞 / 腸管分化誘導 / iPS細胞 / 脂肪由来幹細胞 / 短腸症候群 |
研究概要 |
以前よりわれわれは、多能性幹細胞から臓器としての腸管分化誘導を行ってきた。分化誘導された腸管は蠕動運動能や腸管内容運搬能を有する臓器としての管腔状の腸管で、解剖学的に解析すると粘膜上皮細胞、平滑筋細胞、ICC、神経細胞などの腸管特異的な三胚葉系細胞で構成されている。一方で、血管やリンパ管といった脈管が存在せず、粘膜上皮も単層で陰窩も存在しない。分化誘導腸管は脈管新生がない影響もあり、誘導後比較的早期に蠕動運動が停止してしまう。このままでは、移植用腸管としては使用が困難であるため、脂肪由来幹細胞の血管新生能に着目し、iPS細胞と共培養することにより、脂肪成分と血管成分を有する腸間膜様の構造を含んだ腸管様構造の作成に取り掛かっている。in vitroでの長期培養の可能性を模索し、新たなる腸管移植の可能性に向けて研究を進めている。 今のところ、脂肪由来幹細胞とiPS細胞の共培養における至適培養期間や細胞濃度などを調整中であり、今しばらくの時間を要するものと判断している。 本研究は、最終的には、ドナー由来のiPS 細胞を分化誘導して作成する腸管と、同じドナー由来の脂肪由来幹細胞を用いた腸間膜を共培養することにより、拒絶反応のない腸間膜、血管を有した人工腸管の移植の可能性を秘めており、短腸症候群に対する新たな治療戦略となると判断している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
iPS細胞と脂肪由来幹細胞との共培養時期、濃度の条件設定に難渋している。
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今後の研究の推進方策 |
脂肪由来幹細胞と共培養することで、血管構築を有する腸間膜様の構造を作成し、in vitroでの血管を有する腸管臓器を作成する。短腸症候群のモデルマウスに移植し、生着能の評価、栄養状態などの改善効果に関しても検討中である。
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次年度の研究費の使用計画 |
現在当該研究を進行中である。今年度も引き続き施行する予定である。 脂肪由来幹細胞と共培養することにより、in vitroでの血管を有する腸管臓器を作成する。短腸症候群のモデルマウスに移植し、生着能の評価、栄養状態などの改善効果に関しても検討中である。 新しい腸管移植研究の第一歩となるため、今後も本研究を継続する予定である。
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