肝臓は再生が旺盛な臓器であり、生体部分肝移植はその再生機能に大きく依存する医療である。ドナーは元の半分以上の肝体積を切除・摘出されるが、わずか10日間ほどで元の80%まで体積が復元するとされている。レシピエントにも移植肝において同程度の復元が見られる。生体肝移植後レシピエント肝生検材料をLaserMicrodissectionによって肝細胞、類洞上皮細胞、胆管上皮細胞などをそれぞれのドナー・レシピエントgenotypeをDNA多型マーカーを用いたPCRで明らかにした。移植後肝組織は全体としてドナー・レシピエント両方のgenotypeであるキメラ型が確認できた。門脈周囲領域に存在する胆管細胞は殆どがキメラ型となっていることから、供給源の一部は肝外細胞である可能性が示唆される。これらの細胞はAFP陽性・CK19陽性であり、Oval細胞など前駆細胞を起源に持ち、胆管を構成する過程をみている可能性がある。 また肝移植において過小なグラフトを用い、肝に過剰な門脈血流が流入することで残肝の血管床への圧障害が増加し肝再生が不良になりグラフト肝不全が生じる事が考えられている。脾摘をする事で門脈圧が減少し門脈血流の減少により肝再生をより増進させることが報告されている。こちらに関して、動物実験モデルを作成し大量肝切除後に脾摘施行による門脈圧の変化と肝再生に与える影響を検討した。まず小動物用CTと小動物CT用の造影剤を用い肝再生を追う手技を確立した。さらに門脈圧をMillar社の1.4Frの細い圧センサーを用い門脈圧を侵襲を少なく正確に計測する事が可能となった。今後ラットの大量肝切除モデルを作成し、さらに脾摘群と非脾摘群の2群に分け、両群の門脈圧を測定し小動物用CTを使用し同一個体で肝再生量をvolumetryし肝再生と門脈圧の関係性を検討してゆく。
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