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2013 年度 実施状況報告書

Atmと血管新生・EMTの関係および微小転移形成メカニズムについて

研究課題

研究課題/領域番号 25861214
研究種目

若手研究(B)

研究機関慶應義塾大学

研究代表者

山田 暢  慶應義塾大学, 医学部, 助教 (50594727)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2015-03-31
キーワード癌微小転移 / EMT / 血管新生 / 大腸癌 / ATM
研究概要

癌の増殖・転移において血管新生が重要な役割を果たしており、数多くの血管新生を抑制する分子が報告されている。Ataxia telangiectasia mutated(ATM)はこの内の一つであり、ATMを欠損させたマウスの網膜で血管新生が抑制されることや腫瘍内での血管新生が抑制されることが分かっている。またATMは癌の浸潤、転移に関与するEpithelial–mesenchymal transition(EMT)に関連する代表的な遺伝子であるSnailの発現を制御することが知られている。本研究ではATMにより誘導される腫瘍血管新生がEMTを介する癌転移形成のメカニズムにどのように関与しているかを解明することを目的とし、実験を計画した。
まずヒト大腸癌細胞株(HT29, CaCo2, SW480, WiDR)を用いて、ATMおよびEMT関連マーカーの発現(SNAIL, SLUG, N-cadherin, E-cadherin etc)をRT-PCRおよびWestern Blot法を用いて測定した。その結果、HT-29およびWiDRはATMが比較的高い発現を認めた。EMT関連マーカーもこの2つの細胞株では比較的高い発現が見られた。
TGF-βはEMTを誘導することが知られている。そこで、上記ヒト大腸癌細胞株にTGF-βを暴露させて、EMTが誘導されることを細胞形態、スクラッチアッセイによる細胞浸潤、EMT関連マーカーの発現変化に確認した。またこのEMT誘導によりATM自体の発現の変化をRT-PCRおよびWestern Blot法を用いて評価した。この実験は現在、進行中であり、2014年度には結果をまとめることができると考えている。
今後はさらに、ATMをshRNAを用いてノックダウンした細胞を作製し、これにTGF-βを暴露させた際のEMT誘導に関して検証していく予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

ウェスタンブロットやPCRのマーカーの条件決めに時間を要した。また再現性の実験を現在行っているが、これにも時間を要している。
また、shRNAを用いたヒト大腸癌細胞株へのATMノックダウン、HSV-1ウィルスベクターを用いた形質導入に際しての安定した条件が定まっていない。そのためATMノックダウン細胞やATM過剰発現細胞を用いた実験の進行が遅れている。

今後の研究の推進方策

ATM-/-トランスジェニックマウスの脾注転移モデルを作成し、肝重量および肝転移個数を評価する。微小転移周囲における血管新生を共焦点顕微鏡を用いて観察し、その血管増生の程度および血管構築の正常性を評価する。また血管新生マーカー・EMTマーカーの発現を検討する。
手術切除検体を免疫染色法を用いてATMの発現を評価し、これと臨床病理学的背景因子(ステージ・TMN因子・組織型・脈管侵襲の有無など)との関連についても評価する。

次年度の研究費の使用計画

実験計画の遅延に伴い、試薬などの請求が年度を超えたなどの理由から、誤差が出たと考えられる。
マウスの飼育や細胞培養に必要な消耗品、あるいは、免疫組織染色などに使用する抗体、PCRに使用する抗体などを購入する。

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公開日: 2015-05-28  

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