研究課題
前年度までに行った急性動物実験における知見をもとに全置換型人工心臓のコンセプトを見直し血液ポンプの再設計を行った。とくにサクリスファイス後の成ヤギを用いたフィッティングスタディーにおいて3Dプリンターを用いて数種のコンセプトモデルを植え込み形状について検討を行った。一体構造としていた左心、右心の血液ポンプは埋め込みの容易さの観点から別々のポンプとしたほうが望ましく、両心補助人工心臓への応用や小児心奇形症例に対しても有利であると考えられた。軸受については動圧軸受とピボット軸受がスタンダードとなっているが動圧軸受では加工精度のために高コストとなり、軸受剛性のために重量増となるデメリットがある。ピボット軸受では機械寿命と血液適合性に課題がある。これらを解決する一方法としてワンポイント転がり軸受を考案し試作を行った。ワンポイント転がり軸受は外輪に収められた複数の公転球の上にピン上の回転軸をのせ、電磁石と磁石の吸引力により一点に拘束される。種々の検討を重ねた結果、公転球の数と外輪ジオメトリーの最適化を行った。転がり軸受の問題点として公転球同士の衝突があげられ、これを避けために公転球は保持具に収められ互いにクリアランスを確保するように構成されているが、この保持具は血栓生成の原因になることは明らかで公転球の自律分散が本軸受の成否のカギを握ると考えられた。軸受に対して公転面を傾けることで自律分散が達成されることを確認し、試作ポンプにて動作を確認した。始動時ステータとローターの吸引反発により軸受が破たんすることが確認され今後の課題と解決方法の検討を行った。
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