研究課題/領域番号 |
25861228
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
前田 孝一 大阪大学, 医学部附属病院, 特任助教(常勤) (50644994)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 経カテーテル的大動脈弁植込術 |
研究概要 |
本研究は経カテーテル的大動脈弁移植術後弁周囲逆流に対するONO-1301 (新規合成プロスタサイクリンアゴニスト)の効果を検証することを主目的とする。ONO-1301は1ヶ月をかけて徐々に徐放されるよう、PLGA microsphere製剤を使用した。まず、本研究実証(valve留置)の前に一般ステント(GZV))部に人工血管をあらかじめ縫い付け、そこにONO-1301MSを懸濁したゼラチンハイドロゲルを塗布したもの(SAPIEN valveのステントを想定)を5頭のHBD犬の大動脈に後腹膜より経大動脈アプローチにて経カテーテル的に移植した。同ステントの外側にはあらかじめ骨片を縫着しておき、弁周囲逆流を想定した周囲逆流(leak)を誘導できるようにしておいた。また一方、ONO-1301を含まないMS製剤を同様にstentに固着させ、同様に5頭のHBD犬に移植した。術後1ヶ月においてSacrificeし、組織学的検討を行った。結果、それぞれの群で5頭いずれも、術死はなく、1ヵ月のfollowまで生存した。ONO-1301投与群では手術後直後と2週間後にピークを認める2峰性のONO-1301血中濃度を示し1ヶ月後まで持続されていた。エコーの評価では術直後より全例中等度の周囲逆流(leak)を生じていたが、ONO-1301投与群では1,2,4週と時間を経るごとに逆流量(leak)が減少した印象であったが定量化が困難であった。4週後のSacrificeにおいて、ONO-1301投与群において内膜の増生が高度であった。また、HE染色では骨片で作成した弁輪とステントの間隙に細胞の増生を認め、EVG染色では同部位に膠原線維による線維化が認められた。α-SMA染色では内膜増生部の下層にα-SMA陽性細胞を認め、最表層にはCD31陽性細胞を認めた。ONO-1301投与群において、血管とステントの間隙の内膜増生が高度で線維化の程度も高度であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
デバイスが高額のため、平成25年度に行う予定であった、ONO-1301溶出性TAVI用valveの挿入、弁周囲逆流モデルの作成、短期期間での評価に関しては実際のvalveを用いることができなかったが、大動脈とステントを用いることでそれに相当する実験結果が得られたと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度に施行した短期期間における評価に加え、デバイス提供が可能であれば予定通り長期的に弁周囲逆流が心機能に与える影響を調査する予定としている。加えて、ONO-1301投与による内膜増生が人工弁の運動に対して、影響を与えないか、全身に対する影響がないかについて検討する。またONO-1301が内膜増生に関与するメカニズムにつき、心臓弁基部に存在する細胞を用いて、In vitroの系でも解析する予定としている。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度に施行した短期期間における評価に加え、長期的に弁周囲逆流が心機能に与える影響を調査する予定としている。加えて、ONO-1301投与による内膜増生が人工弁の運動に対して、影響を与えないか、全身に対する影響がないかについて検討する。 またONO-1301が内膜増生に関与するメカニズムにつき、心臓弁基部に存在する細胞を用いて、In vitroの系でも解析する予定としている。 より長期の期間でのONO-1301の影響および心機能の評価をおこなうため、家畜ブタの購入、カテーテルなどの機器の購入、組織染色およびIn vitroでの解析のための試薬購入、研究成果を発表するための旅費に研究費を使用する予定としている。
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