本研究は経カテーテル的大動脈弁移植術後弁周囲逆流に対するONO-1301(新規合成プロスタサイクリンアゴニスト)の効果を検証することを目的としている。ONO-1301は徐々に徐放されるよう、PLGA microsphere製剤を使用した。本年度もvalveの入手(高額のため)が困難であったため、SAPIEN valveのステントを想定し、一般ステント(GZV)部に人工血管を縫いつけたものを5頭のHBD犬の大動脈に後腹膜より経大動脈アプローチにて経カテーテル的に移植した。昨年度同様、ステントの外側にはあらかじめ骨片を逢着し、故意に周囲逆流を作成した。術後6ヶ月においてSacrificeし組織学的検討を行った。結果:5頭とも6ヶ月のfollowまで生存。ONO-1301の血中濃度はいずれも0であった。エコーの評価では(定量化が困難であったものの)周囲逆流は昨年同様、1ヶ月後までは減少傾向であったが以降は普遍であった。また、その組織像は昨年度認めたコントロール群と比し4週間後のONO-1301群の組織像とほぼ同等であり、内膜の増生が高度で、EVG染色では骨片と大動脈壁との間にできた間隙に膠原線維による線維化を認めた。以上より、ONO-1301による効果は6ヶ月は持続することが示唆された。
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