研究課題/領域番号 |
25861238
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
西原 通秀 久留米大学, 医学部, 助教 (70569417)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 大動脈瘤 / 炎症 / IL-6 |
研究概要 |
近年の研究から、大動脈瘤の本態は慢性炎症による組織破壊であることが明らかにされ、治療戦略として炎症制御が注目されている。大動脈瘤では炎症性サイトカインIL-6が高発現しておりSTAT3の活性も高いが、その意義は明らかにされていない。本研究では、大動脈瘤病態におけるIL-6、JAK/STAT系の分子病態的意義を明らかにし、解明された病態に基づき、IL-6およびJAKを分子標的とした炎症制御による大動脈瘤の安定化・治療法の開発を目指す。 初年度、マウス実験においては腹部大動脈周囲にCaCl2を塗布して6週間で大動脈瘤が形成される大動脈モデルマウスを使用した。このモデルにマウスIL-6受容体阻害抗体を投与し効果を検討する実験を行った。予備的検討から初回2 mg/個体を尾静注、以後0.5 mg/個体を腹腔内投与した。6週間投与後に屠殺し、瘤径測定、病理組織学的解析、分子解析を行った。マウスIL-6受容体阻害抗体投与群は、大動脈瘤径の減少、病理組織において炎症細胞浸潤の抑制が確認された。免疫染色ではWestern Blot法にてJAK/STAT3系の抑制、JNKの抑制が見られた。Zymographyにて蛋白分解酵素のMMP-2,-9の発現抑制が見られた。DNAマイクロアレイは解析中である。 ヒト瘤組織培養ではIL-6受容体阻害抗体の投与にて瘤組織から分泌される炎症性サイトカインの減少が確認された。組織遺伝子発現はDNAマイクロアレイで網羅的に解析中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、IL-6受容体抗体を大動脈瘤モデルマウスとヒト瘤組織に投与した影響を解析中であり、概ね順調に経過している。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き大動脈瘤モデルマウスとヒト瘤組織において、IL-6受容体抗体投与による瘤への影響を明らかにする実験において組織学的検討、分子的検討(DNAマイクロアレイ等)を行っていく。更にJAK阻害薬においても同様の検討を行っていく。
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次年度の研究費の使用計画 |
十分なトレーニングにより、マウスモデルの作成や解析における手技を確立できたため、当該実験において解析に使用するマウスの数を少なく出来、解析の際の各種実験試薬、試料の節約にもつながった。 より大規模なDNAマイクロアレイ等の網羅的解析に投資し、当該研究の更なる飛躍を目指す。
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