研究課題/領域番号 |
25861244
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
川口 晃司 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院講師 (10402611)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 悪性胸膜中皮腫 / CD44 / バリアントアイソフォーム / ヒアルロン酸 |
研究概要 |
我々は癌幹細胞表面マーカーである接着分子CD44に着目し、悪性胸膜中皮腫におけるバリアントアイソフォームの解析をするとともに、中皮腫細胞においてヒアルロン酸に結合するLinkファミリー蛋白としての機能について分子レベルで解明をすすめている。 これまでに愛知県がんセンターと協力して、悪性胸膜中皮腫の検体を集め、主に胸水から細胞株樹立に着手してきた。日本人由来の中皮腫細胞株を含む約20株を用いてCD44の発現をWestern blot法やFACS (fluorescence activated cell sorting) 法を用いて確認した。 その結果、ほとんどすべての中皮腫細胞株でCD44が高発現しており、さらにバリアントを含め比較的均一でhomogeneousな細胞集団を形成している細胞株から、発現レベルも様々なheterogeneousな細胞株まで様々であった。バリアントアイソフォームに関しては、PCRを主体に解析を進めており、細胞株によって異なったバリアントアイソフォームを確認している。CD44はアイソフォームの数が多く、細胞株によってその発現が多岐に及ぶと解析が困難にはなるため、現状の細胞株数では一定の見解を得難く、さらなる細胞株の樹立が必要と考えられる。 今後の予定としては細胞株の樹立に着手しつつ、現在までの解析結果をもとに下流のシグナル経路との関連についても検討を加える予定である。また実臨床では、上皮型の悪性中皮腫では胸水中に多量のヒアルロン酸が確認されるため、ヒアルロン酸の受容体としてのCD44の機能をバリアントアイソフォームの違いの観点から追及したい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
中皮腫細胞株の樹立スピードとしては、症例数の割合からすると一定の成果が出ているが、CD44のバリアントアイソフォーム数は多彩であり、これまでの解析で発現パターンが多岐に及んでいたため、組織型による分類など臨床情報と照らし合わせても特定の方向性を示す見解は得られなかった。同じ上皮型由来の中皮腫細胞株でも、想定以上にバリアントが多様であったことが、機能解析にまで着手できていない理由である。
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今後の研究の推進方策 |
今後さらに関連病院との連携を深めることで、中皮腫検体を収集に力を入れ樹立する細胞株の数を増やしていく予定である。 また細胞株の樹立についても、メディウムの種類や量・plateの種類など様々な手法を検討することで、より効率のいい方法に到達できればと考えている。 研究計画に大きな変更はないが、解析する視点を臨床情報や組織型との関連だけでなく、Hippo pathwayといった下流のシグナル経路との関係に加えて、最近他癌種で報告されたシスチントランスポーターxCTとの関連についても中皮腫細胞株で解析する予定である。 さらにヒアルロン酸のレセプターとしての観点から、ヒアルロン酸の分泌促進シグナルとの関連についても検討を加えることで、本研究計画における一定の成果を出したいと考えている。
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次年度の研究費の使用計画 |
急患により出張を取りやめたため 次年度の出張充てる予定
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