研究概要 |
【研究目的】胸腺癌、胸腺腫などの胸腺上皮悪性腫瘍については手術以外に有効な治療がなく、発症機構に ついても殆ど解明されていない。本研究では、胸腺腫瘍の分子生物学的発症機構の解明を目指し、ゲノムワイド解析を行う。これにより、胸腺悪性腫瘍の増殖、進展に関与する遺伝子を同定し、新たな分子標的治療の開発へ臨床応用を進めていく。 【研究実施計画】胸腺悪性腫瘍の遺伝子変異を、次世代シーケンサーを用いたターゲットシーケンスにより網羅 的に解析し、胸腺癌、胸腺腫などに特徴的な遺伝子変異を検出する。 【研究成果】まず胸腺癌12例についてLifeTechnology社の次世代シーケンサー(Ion PGM sysytem)とIon AmpliSeq Compehensive Cancer Panelを用いたターゲットシーケンスによって、癌関連409遺伝子の網羅的解析をおこなった。癌組織に特異的な変異を同定するために、対応する正常組織10例に対してもシーケンスを施行した。症例あたり平均4,881,951塩基のシーケンスを行い、average base coverage depthは311、uniformity of coverageは92.8%であった。平均で294遺伝子から1039 variantsが検出された。Ingenuity Variant Analysis、SHIFT、PolyPhen-2、PROVEANによってフィルタリングを行い、胸腺癌10例から24遺伝子、25変異が候補遺伝子変異として決定された。
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