研究課題
若手研究(B)
健常人末梢血単核球よりCD3陽性T細胞を磁気分離して、CD3/28ビーズを用いて刺激した。T細胞の増殖が著しくなったところでレトロウィルスを使用してhTERT特異的CD8陽性T細胞クローンのTCRα鎖、TCRβ鎖を導入した(タカラバイオとの共同研究)。T細胞の増殖が低下した時点で、CD4陽性分画を磁気分離によって除去してCD8陽性T細胞分画を分離した。これをhTERTペプチドで刺激すると高頻度のhTERT特異的TCR陽性細胞が得られることをHLA-A24テトラマー解析により確認した。このhTERT TCR導入CD8陽性T細胞の細胞傷害活性を評価したところ、hTERTペプチド負荷T2-A24細胞を傷害したが、HLA-A24陽性hTERT陽性肺癌細胞株PC9を傷害しなかった。iNKT細胞は、その活性化を通して免疫賦活効果(アジュバント効果)を発揮することが知られている。そこで、これを用いて、hTERT特異的TCR導入CD8陽性T細胞の細胞傷害活性を増強できるかについて検討した。このために、健常人末梢血単核球をα-GalCerにて刺激することによってα-GalCer特異的ヒトVα24 iNKT細胞の増殖を誘導した。さらに高速自動セルソーターを使用して、Vα24+Vβ11+6B11+ヒトiNKT細胞を精製分離し、7-9日おきに複数回刺激することで株化した。これをCD3刺激した際の液性因子をPC9に加えて48時間培養したところ、hTERT TCR導入CD8T細胞はPC9を効率よく傷害した。現在、hTERT TCR導入CD8陽性T細胞の細胞傷害活性を増強させるメカニズムを明らかにするために、iNKT細胞が産生する液性因子に着目して解析中である。
2: おおむね順調に進展している
hTERT特異的TCRの導入は、タカラバイオとの共同研究により、順調に進めることができた。TCR導入CD8T細胞は全く肺癌細胞株を傷害しなかったが、iNKT細胞の培養上清を用いることで傷害活性を得られることができたため、おおむね順調と考えている。
肺癌細胞株を傷害したメカニズムが明らかにされていない。これにはiNT細胞が産生する液性因子が重要な役割を果たしていると考えられる。マルチプレックスアッセイ、中和抗体を用いた阻害試験により責任因子を同定する予定である。また、iNKT細胞は樹状細胞との相互作用により、抗腫瘍効果を促進することが知られているため、これに関しても詳細な解析を進める予定である。
平成25年度末に発注した消耗品であるが支払い作業が遅れたため、翌年度支払いとなった。すでに平成25年度末に納品が終了しており、支払いだけが翌年度になったため、使用は終了している。
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臨床免疫
巻: 61 No.2 ページ: 158-163