研究概要 |
初年度は、悪性胸膜中皮腫の切除症例、生検症例のパラフィン包埋切片において免疫組織化学染色を中心に解析した。 (1) 悪性胸膜中皮腫におけるウロキナーゼレセプター(uPAR)の発現と予後解析 悪性胸膜中皮腫の臨床検体のパラフィン包埋切片において、uPARについて条件設定を行い(ポジティブコントロール;咽頭)、この条件下で免疫染色を行った。過去の報告に基づいて高発現群と低発現群へ分けたところ、高発現群が有意に予後不良であった。今後症例を増やす予定である。 (2) ウロキナーゼ(uPA), プラスミノーゲン活性化抑制因子(PAI-1)の免疫組織化学染色の条件設定 uPARのリガンドであるuPAとその阻害因子であるPAI-1について、免疫組織化学染色を行う予定である。本年はこれらの因子について免疫組織化学染色の条件設定を行った。今後は(1)の臨床検体と同じ症例において、免疫染色を行い予後などの臨床病理学的因子との比較検討を行う予定である。 (3) 悪性胸膜中皮腫細胞株を用いて、低酸素条件下においての培養条件や、flow cytometryによる細胞表面抗原 (uPAR, EGFRなど)検出の最適化を行った。今後は低酸素条件下においてのこれらの分子の発現変化を検討する予定である。
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