研究課題
提供していただいた膠芽腫患者から採取した9種類の膠芽腫幹細胞株を使用した。Notch阻害剤MRK-003に対する感受性は高感受性群と低感受性群に分けられた。MRK-003処理後のリン酸化型Akt発現レベルは高感受性群で濃度依存性に低下し、低感受性群への影響はわずかであった。MRK-003の効果はリン酸化型Akt発現レベルの低下に相関する可能性が考えられたため、Aktを過剰発現させた膠芽腫幹細胞株を作成しMRK-003感受性のAkt依存度を検証した。結果、Akt過剰発現膠芽幹細胞株ではMRK-003による細胞増殖抑制, アポトーシス促進, 幹細胞形質の喪失効果を完全に抑制することができなかった。次に9種類の膠芽腫幹細胞株に対しがん幹細胞マーカーであるCD44とCD133の発現量をフローサイトメトリーで測定し、MRK-003感受性との相関解析を行った。MRK-003高感受性群はCD44の発現量が高くCD133の発現量が低い、一方、MRK-003低感受性群はCD133の発現量が高い結果であった。膠芽腫幹細胞株に対するMRK-003のIC50はCD44の発現量と負の相関関係を示し、CD133の発現量とは正の相関関係を示した。以上より、膠芽腫患者由来の膠芽腫幹細胞に対するMRK-003の効果は高感受性群と低感受性群に分けられた。MRK-003の効果はAktシグナルの阻害程度に相関傾向であったが、Aktシグナルに完全に依存しているとは言えなかった。MRK-003はCD44の発現量が高く、CD133の発現量が低い膠芽腫幹細胞に有効であり、CD44およびCD133の発現量はMRK-003に対する感受性の指標になりうると示唆された。
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