アテローム血栓(プラーク)の形成とその不安定化を解明することは動脈血栓症治療の上で重要である。最近同定された血小板活性受容体 CLEC2(C-type lectin-like receptor 2)の生体内リガンドあるポドプラニンは、動脈硬化部位のマクロファージや平滑筋細胞に発現していると報告されている。ポドプラニンとCLEC2が結合することにより、血小板が活性化され、活性化血小板内α顆粒より、血小板由来成長因子(PDGF)や血管内皮細胞増殖因子(VEGF)等が放出されることによって、動脈硬化病巣の炎症を促進するのみならず、透過性亢進による粥腫内圧の亢進や新生血管の血栓形成による粥腫コアの拡大に関与している可能性がある。本研究の目的は、頸動脈狭窄症の不安定プラーク形成における、ポドプラニン-CLEC2の役割を解明し、脳梗塞予防の新たな治療薬の開発に資することである。 本年度は、当院で頚動脈内膜剥離術を行った症候性および無症候性の頚動脈狭窄症患者を対象として、手術で得られた内膜剥離標本を用いて、頚動脈内膜内でのポドプラニンの発現を、免疫染色により確認し、血管壁での発現部位を検討した。また、術前MRIでのプラークイメージ(TOF、T1WI、T2WI)での不安定プラーク、手術で得られた内膜剥離標本での粥腫の所見、およびポドプラニンの発現との相関について検討している。ポドプラニンが、血管壁での発現部位についても、検討している。
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