研究課題/領域番号 |
25861266
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
高木 俊範 岐阜大学, 医学部附属病院, 医員 (00452152)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | t-PA静注療法 / 塩酸ファスジル / 血管内皮細胞 |
研究概要 |
栓子を用いたマウス一過性中大脳動脈閉塞により脳虚血再灌流障害を誘発させた。虚血時間は6時間とし、t-PA は虚血中の6 時間、ファスジルは虚血直後に3mg/kgを腹腔内投与した。対照群、単独治療群(t-PA 群)、併用療法群の3群をおいて、脳梗塞体積、出血量、神経行動学的評価と死亡率を検討した。またラットを用いて尾切除時の出血時間を検討した。 t-PAおよびファスジルは脳梗塞体積には影響を及ぼさなかった。t-PA静注により出血量は増加したが、ファスジルとの複合治療は出血量を減少した。またファスジルは7日後の神経学的所見を改善し、死亡率も低下させた。ファスジルの出血時間に与える影響を検討した結果、t-PA投与により出血時間は延長するが、ファスジルの追加投与では特に影響が認められなかった。このことから、ファスジルは止血機構に直接影響することなく、t-PA静注に伴う出血性梗塞を減少させるといえる。 次にそのメカニズムの検討を現在行っている。計画書にもある通りeNOSを中心とした解析を現在行っているが、そのサンプル採取時期やその検出に苦労している。 一方で、In Vitroでの実験を並行して開始している。ヒト血管内皮細胞を用いて6時間の低酸素・低グルコース負荷を行い、t-PA投与およびファスジルとの複合治療における死細胞率を検討した。その結果、t-PA投与は明らかに死細胞を増加させるが、ファスジルとの複合治療では、その死亡率が改善した。このIn Vitro系を用いたメカニズム検討を加えていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
マウスモデルを用いた実験において、t-PAにより増加した出血性梗塞をファスジルが抑制することを示せたことは大きいと考えている。現在はそのメカニズムを検討している段階である。現在、In VivoでのeNOSの検出を試みているが、その方法の確立段階で苦慮している。
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今後の研究の推進方策 |
ファスジルによる出血性梗塞抑制メカニズムの検討を中心に進めていく。ただし、Vivoモデルを用いた検討ではその評価方法の段階で躓いているのが現状である。そこでVivoで上手くいかない場合は、ヒト血管内皮細胞を用いたIn Vitroモデルを用いてその作用機序を検討していく。評価項目としては計画書にある通り、MMP-9やVEGFといった因子を始め、タイトジャンクションを構成するocclusinやZO-1といった因子を検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
計画通りに使用したが、消耗品が当初の予定よりも安価に購入できたため、66,213円の次年度繰越金が生じた。 この繰越金を含め、サンプル、試薬、抗体等の購入と論文校正費用、論文投稿料に使用する予定である。
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