研究課題/領域番号 |
25861269
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
長谷川 仁紀 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (10454381)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 神経膠芽腫 / ホメオタンパク質 / PRRX1 |
研究概要 |
高い浸潤能と増殖能をもつ神経膠芽腫の治療は非常に困難であり、その新たな治療法開発は急務である。その開発の礎を築くべく、我々は神経膠芽腫の悪性化メカニズムに着目し新たな制御因子の同定を行っている。我々は、神経膠芽腫特異的に異常な発現を示すタンパク質を独自に検討し、その結果7個のホメオタンパク質が神経膠芽腫において発現亢進している可能性があることを見出した。それが、SHOX2、TGIF1、TGIF2、PRRX1、SIX4、IRX3、GBX2である。我々は、まずこれらのタンパク質を司る遺伝子が、神経膠芽腫の臨床サンプルにおいて異常な発現をしているかどうかをリアルタイムPCR法によりそれぞれ確認した。その結果、PRRX1遺伝子は、我々が用いた臨床サンプルのうち、約85%のサンプルにおいて正常組織に比べて高い発現を示すことを明らかにした。神経膠芽腫由来細胞株であるT98、SKMG1、U251nu/nu、AO2、U251sp、U87細胞を用いてその発現を同様に確認したところ、U251sp、U87細胞株では高い発現を示すことがわかった。細胞レベルにおけるPRRX1の役割を検討するため、shRNAを作製、導入した細胞株を作製し、PRRX1の発現を抑制した場合の表現形について検討した。インベージョンアッセイの結果から、PRRX1の発現を抑制することによって浸潤能が低下することがわかった。またこの結果をin vivoで検証するため、U87細胞をマウス脳へ移植し、その後のマウスの生存率を調べた。PRRX1の発現を抑制した細胞を移植したマウスは、発現抑制していない細胞を移植したマウスに比べてその生存率が約3倍伸びることが分かった。以上より、PRRX1は神経膠芽腫において浸潤能を制御しており、神経膠芽腫由来細胞株移植マウスの生存率を大きく左右するほど悪性化に重要な役割を担うことを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度、我々は神経膠芽腫臨床サンプルの収集とその解析を行い、候補遺伝子の中から神経膠芽腫悪性化に特に重要であると推測される遺伝子、PRRX1を特定した。神経膠芽腫由来再細胞株を用いた解析によりPRRX1の働きを明らかにし、またマウスによるin vivo実験でも同様にその重要性が明らかにできたことから、順調に研究が進展しているものと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
来年度以降、我々はPRRX1の神経膠芽腫悪性化機構における役割についてさらなる解析を行っていく。特に、転写因子であるPRRX1はどのようにして悪性化を導くのか?PRRX1による転写活性化の役割とは?また、どのようなシグナル経路を活性化するのかなど、分子生物学的、さらに細胞生物学的手法を用いてその詳細を明らかにしていく。また以上の結果を受けて、神経膠芽腫悪性化を導くPRRX1の転写活性を抑制するようなペプチドを設計、作製し、これらペプチドの効果を細胞またはin vivoにおいて確認することを試みる予定である。
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