研究課題/領域番号 |
25861275
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
クー ウイミン 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (70591022)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | てんかん / 迷走神経刺激 / サイトカイン / 免疫 |
研究概要 |
てんかんは約0.5~1.5%の有病率を有する疾患であるが、発生機序に不明な点が多く、既存の薬物療法では約30%の患者は難治に経過するため、病態解明、新規治療方法の開拓が期待される疾患群である。脳内の自然免疫応答はてんかんの発生機序に関与し、近年注目されている。一方、新規外科的治療法である迷走神経刺激が脳内の免疫系に影響があることを示唆する報告もある。本研究では、迷走神経刺激が脳内の免疫系に作用するのかを明らかにするため、てんかんモデル動物に迷走神経刺激療法を行い、脳内の自然免疫応答に関連する分子を解析することによって迷走神経刺激療法の作用機序、特にてんかんにおける脳内の免疫系を介する機序を解析する。現在、急性てんかんモデル動物を作成し、頭蓋内深部電極及び経頭蓋電極を用いた脳波モニタによるてんかん発作を記録する手法を確立した。迷走神経刺激の専用電極をてんかんモデル動物の迷走神経に留置固定し、迷走神経の刺激モデルの作成もできた。また、脳内サイトカインの発現を検出するために、脳組織の固定法や蛍光免疫染色を行う条件の確立を進めている。今後、迷走神経刺激による治療をしたか否かでてんかんモデル動物の脳内サイトカインの発現の違いを蛍光免疫染色法により観察し、さらに定量的な解析も加えて研究を進めていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
実験モデル動物の作成、蛍光免疫染色のための脳組織の固定法と免疫染色の条件の確立が当初予定していたよりもやや難渋しており、計画書の予定より研究が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
慢性てんかんモデル動物を作成し、モデル動物およびコントロールに対する迷走神経刺激Off-Onでの脳波の変化を頭蓋内深部電極及び経頭蓋電極を用いて脳波の測定と解析をする。また、モデル動物およびコントロールの脳内免疫サイトカインの変化を蛍光免疫染色法による定性とRT-PCR法による定量を行う。この結果を元に、迷走神経刺激による脳内サイトカイン発現に与える影響の機序の詳細を解析する。そのために上記結果で変化がみられたサイトカインの受容体をはじめとする分子のノックアウト動物を用いて行う予定とする。また、迷走神経刺激によって脳内で増える神経伝達物質が脳内のサイトカインの誘導に対して抑制する効果があるかどうかとそのメカニズムをミクログリア培養細胞を用いたin vitroの実験系での解析を行う予定とする。
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次年度の研究費の使用計画 |
実験モデル動物の作成、蛍光免疫染色のための脳組織の固定法と免疫染色の条件の確立が当初予定していたよりもやや難渋しており、計画書の予定より研究が遅れている。 昨年度の購入予定であった刺激装置を今年度早々に購入し、その他研究遂行に必要な手術機器および電気生理学的検査(脳波)に必要な物品、脳波解析に必要な物品、解析ソフトやハードウエア、試薬、動物施設使用料、研究成果発表の学会出席や論文投稿に必要な経費に今年度研究費を使用する予定。
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