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2013 年度 実施状況報告書

中枢神経損傷時のRacシグナルを中心とした神経機能回復メカニズムの解析

研究課題

研究課題/領域番号 25861276
研究種目

若手研究(B)

研究機関神戸大学

研究代表者

甲田 将章  神戸大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (80590843)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2015-03-31
キーワード神経機能回復 / アストロサイト / Rac1
研究概要

高輝度放射線装置であるスプリング8を用いて、マウス小脳に微小損傷を作成し検討をおこなったところ、野生型マウスとアストロサイト特異的Rac1 KOマウスの比較では、小脳顆粒細胞の脱落幅には有意差を認めなかった(18.52±0.79μm vs. 19.99±0.88μm)。しかしながら、Rac1KOマウスでは、損傷周囲のアストロサイト染色性の低下を認めた。
脊髄損傷後のBMS(Basso Mouse Scale)スコアを用いた運動機能評価では、アストロサイト特異的Rac1KOマウスは亜急性期から有意な運動機能の回復を認め、損傷5週後でも有意な改善がみられた(4.70 vs. 2.79 (P<0.0001))。下肢運動機能を評価するBSS(Body Support Score)でも、同様に運動機能の改善が認められた(2.50 vs. 0.93 (P<0.0001))。脊髄損傷5週後の組織学的検討では、Rac1KOマウスにおいて脊髄損傷部近傍でのGFAPの染色性の低下がみられた。
アストロサイトの細胞培養により、野生型マウスとアストロサイト特異的Rac1 KOマウスの細胞を用いて検討おこなったところ、Rac1がKOされたアストロサイトでは、遊走能の低下および分裂能の低下を認めた。
これらの結果より、Rac1は中枢神経組織損傷後のアストロサイトの反応性を増大させることが判明した。また、その反応を制御することにより神経機能の回復を促進できる可能性があると考えられる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

アストロサイト特異的Rac1 KOマウスでは、神経損傷後の機能回復が有意に促進されることが証明され、この機能回復を促す要因の一つに反応性アストロサイトが関与している可能性が示唆された。

今後の研究の推進方策

アストロサイト特異的Rac1 KOマウスにおける中枢神経機能回復と炎症反応との関連について検討していく予定である。

次年度の研究費の使用計画

脊髄損傷後の神経機能回復に関する検討をおこなうとともに、次年度に予定していた脊髄損傷後亜急性期の脊髄損傷マウスの作成を開始した。一方で、反応性アストロサイト以外の組織学的検討を次年度に予定したため。
反応性アストロサイト以外の組織学的検討、および炎症反応の検討に使用する予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて その他

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] 神経損傷後の機能回復には 低分子量G蛋白質Rac1を介した アストロサイト制御が関与する

    • 著者名/発表者名
      甲田 将章, 上山 健彦, 執行 美智子, 近藤 威, 久保山 友晴, 石井 大嗣, 東田 千尋, 齋藤 尚亮, 甲村 英二
    • 学会等名
      第72回日本脳神経外科学会学術総会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜
  • [学会発表] アストロサイト特異的Rac1ノックアウト(KO)による神経損傷後の機能回復促進

    • 著者名/発表者名
      石井 大嗣, 上山 健彦, 坂本 勲勇, 執行 美智子, 久保山 友晴, 甲田 将章, 東田 千尋, 甲村 英二, 齋藤 尚亮
    • 学会等名
      第124回薬理学会近畿部会
    • 発表場所
      京都ガーデンパレス

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公開日: 2015-05-28  

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